女性と演劇について、史学科と社会学科ではどちらが?
質問
私は芸術という点で女性が舞台に立てるようになった成り立ちや、日本特有の宝塚歌劇団にある男役という文化が海外には存在しない理由について学びたいと考えています。女性の格差について学びたいのですが、史学科と社会学科ではどちらの方が学びやすいなどはありますか?
回答
お問い合わせありがとうございました。また、回答が遅くなり申し訳ありません。
簡単にいえば、現代の事象を共時的に扱うならば社会学、過去からの流れを踏まえて考えるならば歴史学のほうがよいだろう、と思います。
近年はジェンダー史研究が大きな発展を遂げており、そのうち異性装の歴史は、宗教や芸術の如何を問わず注目を集め、専門の研究書や入門書も刊行され始めています。現在、本学科にはジェンダー史を専門に研究している教員はいませんが、東洋史には大澤正昭名誉教授以来女性史研究の伝統があり、西洋史でも井上茂子教授が、『女の皮膚の下』という女性史・身体論の名著を翻訳しています。日本史の北條勝貴教授にも、東アジア前近代の性的マイノリティーに迫った論文があります。社会学その他、他学科の先生方にもアドバイスをいただきながら、本学科で、演劇における異性装を卒業研究にまとめてゆくことは可能でしょう。
ちなみに、女性が男性の役を演じることは、宝塚歌劇団だけでなく、オペラのズボン役などにみることができます。それから、宝塚歌劇団の成立は必ずしも「女性の地位の向上」ではなく、温泉街において男性客へ「若い女性の出し物をみせる」という、男性優位社会の眼差しが前提となっていたことにも注意が必要です。