受験生 Q & A

各国の近代化について学びたいのですが、可能ですか?

質問

各国の近代化や近代化の国民の精神について学びたいのですが可能でしょうか?

回答

質問ありがとうございます。
近代化論は、現代歴史学の極めて重要なテーマで、恐らく、史学科のある大学ならば、どこへ進学しても、何らかの形で学ぶことはできるでしょう。しかし、一般には近代化論は、進歩史観的に肯定的に受けとめる傾向が強いのではないかと思います。日本でも、徳川時代の旧弊が解体されて進歩的な明治時代が開かれるという、司馬遼太郎の小説に示されるような歴史観が一般的でしょう。しかし現代歴史学は、それとは対照的な方向で近代を捉えています。例えば、一般には進歩発展の到達点とみられている近代国民国家などは、本当に理想的なシステムかどうか、綻びのみえる資本主義とともに検証に付されているところです。日本史学界でも、明治維新を批判的に捉える傾向が強くなっており、明治を「現代に通じる生きづらさの始まった時代」と位置づける研究もあります。過酷な競争と社会的格差の拡大が深刻になり、一方で前近代的なセーフティネットがどんどん破壊されていったためです。〈発展〉の幻想をしっかり批判しながら、現代を再考する視野を養ううえでも重要な研究領域ですね。
本学の史学科では、日本近現代史の長田彰文教授が日本・朝鮮・台湾・アメリカの国際関係史を、東洋史の笹川裕史教授が主に中華民国・中華人民共和国の成立史・社会史を、西洋史の井上茂子教授がドイツ・ナチズムの歴史を専門に研究しています。また、外国語学部や総合グローバル学部、国際教養学部には、世界諸地域の近現代を研究している教員が複数おります。これら教員の開講している授業や直接の指導に触れることで、皆さんの問題意識を深めることは可能と思います。

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