大学で武器の歴史を研究するのは難しいでしょうか?
質問
史学科を進学希望としている者です。漠然とではありますが武器、特に銃の歴史について興味があります。上智大学に限らず大学で武器の研究をするというのは資料が限られているなど厳しい面はありますか?
回答
返答が遅れて申し訳ありません。
世界史においても日本史においても、銃や武器、武力に関する研究は無数にあり、史料もある程度残っています。
よって、研究をするのは難しくありません。
要は、どのような観点で銃、武器を扱うのか、ということでしょう。
銃そのものを扱う、ということであれば、モノとしての銃がどのように発明され、改良を加えられてゆくかという技術史になります。
しかし、技術の展開には社会的、政治的需要・契機が不可欠ですので、内乱や紛争、戦争への言及は不可避となるでしょう。
鉄素材の精錬技術、火薬の開発・改良、経済流通との関わりも重要になります。
そうした、銃を中心とするシステムがどのように国際社会・地球環境を変貌させたかに話が及べば、
ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』、アルフレッド・クロスビー『飛び道具の人類史』 のような文明史、環境史も描くことができるでしょう。
銃を武器全般に拡張すれば、とうぜん古代や中世も対象とすることが可能となります。
例えば日本の弥生時代には、武器型青銅器(銅矛・銅剣など)を象徴とする社会と、楽器型(銅鐸)を象徴とする社会とでは、
その階層性や安定性、戦争に関わる考え方が大きく異なると思います。
このあたりのことは、現代の銃規制の問題とも関わってくるかもしれません。
あなたの関心次第で、どのようにも展開できる分野だと思います。