キャンパスヒストリープロジェクト:作成過程と感想

2024年春学期、英語学科・山中美潮助教が担当するIntroduction to Digital Historyでは、上智大学史をテーマに学生がデジタル・プロジェクトの作成に取り組みました。受講生の声を紹介します。

 

自分はIntroduction to Digital Historyのキャンパスヒストリープロジェクトにおいて、学生紛争における一号館にまつわる出来事を主題として、抵抗の象徴としての側面に注目しました。

このトピックに注目した理由としては、実際にソフィア・アーカイブズを訪問した際に、学生紛争時の写真を目の当たりにし、今まで自分が持っていた上智に対するイメージが覆されると共に、非常に関心を抱いたためです。

学生紛争が戦後史の中でも大きな出来事だったこともあり、一連の日付の記録が明確だったので、時系列を意識して、Timeline JSを使用しました。

資料は主に上智新聞から引用し、その時期に注目された学生紛争事件や大学の対応などをまとめて行きました。

一つあったトラブルとしては、上智のとある公式文献に、欲しい情報と写真がほとんど書いてあったため、一つの情報源に頼り切らないようにすることに苦戦しました。ですが、その文献内にある日付などから逆に辿っていき、先述のように、当時の上智新聞などを見てみることで、情報源の多様性を保ちました。

このプロジェクトを通して、今の上智の一般的なイメージとはかなり異なる出来事が、戦後の日本の国家史、そして教育史の一部として、さまざまな考えを持つ人々がぶつかり合うことがあったことを学びました。そして、今まで隠れていた自分の属するコミュニティの側面を自分で発見し、人々に伝えることができたことに面白さを感じました。加えて、コミュニティの大小や特性に関わらず、様々な面で、隠されてきた、または時間の経過とともに薄れていった記憶や歴史があるものだと学びました。

このようなプロジェクトを行うことで、イメージが覆される、または他の人にその衝撃を共有し、コミュニティの本質などに近づくことができ、コミュニティそのものを洗練させ、より良い大学や教育機関、企業、さらに国などまで多様レベルでの改善につながると自分は考えます。各人が周囲の出来事に関心を寄せ、記録や記憶をすることが、これを支えることにおいて重要です。なので、是非、より多くの人に、今まで関心を寄せてこなかった、自分の属するコミュニティの記憶や記録を一度覗いて見ることをおすすめします。

英語学科 飯田旺介