卒業生の声

Good Morning from London

2011年度卒業生 吉澤まりえ(電機メーカー勤務)
ビッグベン の前で友人と(著者右側)

ビッグベン の前で友人と(著者右側)

みなさんこんにちは。
日系電機メーカーに就職して4年目。今月からロンドンに転勤になりました。

在学中は北條ゼミに所属し、毎日漢文の史料と格闘しながら仏像の研究をしていました。
思えば高校時代、理系科目は赤点を取ってばかりで国立大学を諦め、私立文系に志望校を決めた当時、一番苦手だった科目は世界史でした。
歴史が特別好きだったわけでもなく、しかも世界史を選択していた私がなぜ史学科に入学して日本古代史ゼミに入ったのか?
それは、世界に出たかったからでした。

全く論理的ではないように聞こえるかもしれませんが、海外に出て改めて思うことは、日本人の愛国心の薄さと自分の国への無関心さです。
私は高校時代オーストラリアに短期留学したことがあったのですが、ホストファミリーから日本のことを聞かれ、答えられなかったときに自分の無知さを恥じました。
幼少期から英語が好きで、いつか海外に出たいと思っていたのに、私は自分の国のことすらまともに語ることができない。
それが史学科を目指すきっかけの一つになりました。

大学で歴史を学んでいたと言うと、大抵の人が「なんでうちの会社に入ったの?」と聞きます。
ロンドンに来る前は国内で営業とマーケティングの部門を経験しましたが、仏像の研究をしていた女の子が電機メーカーでマーケティングをしているなんて、誰が想像したでしょう?
正直、私自身も全く想像しませんでした。
海外駐在自体は入社前からの夢でしたが、キャリアパス自体は希望していたものとは違いましたし、学生時代にマーケティングはおろか経済学部の授業を取ったことは一度もありませんでした。
今になるとビジネスってこんなに面白いのか!と思わされることばかりですが、在学中はアルバイトやサークルに夢中になっていたと思います。(もちろん他学部の授業を取って見識を広げることはとっても大事ですよ!)
でも、入社してマーケティングの仕事について気付いたことは、史学科で学んだことがいろんな仕事に活きるということです。
史学科に入学すると、史料批判というものをします。
おびただしい量の史料を読み、仮説を立てて、それを検証する史料を集めて論理を企てる、というのが基本の作業になってくると思うのですが、その作業は社会人になっても同じです。
私は商品企画を担当していたのですが、一つの商品を提案するには、なぜその商品を作る意味があるのか、誰に売れるのか、競合商品は何でなぜそれが売れるのか。
調べることだらけです!
私は史学科で4年間学んだおかげでその作業を苦痛に思うことはありませんでしたし、論理的な思考が身に付いたのではないかと思っています。
「歴史」というと大半の仕事とは無縁のことのように感じますが、史学科で学ぶ史学的方法論や思考は決して無駄にはならないのです。

ロンドンに来て約1ヶ月が経ちますが、毎日が新しい発見だらけです。
私の会社にはイギリス人だけでなく、インド人やポーランド人、ジャマイカ人などいろんなナショナリティの人たちが働いています。
日本では当たり前と思っていることは海外では当たり前ではなく、文化や思想の違いに驚かされるとともにその違いが面白くもあり、毎日が刺激的です。
私は学生時代に留学したことはありませんし帰国子女でもありませんが、社会人になって必死で食らいつけば海外で働くチャンスは誰にでも与えられます。
やるか、やらないか、だけです。
大学生はとっても自由で何にも縛られない最高のモラトリアムですが、社会人になればもっと選択肢は増えて楽しいこともたくさん待っています。
皆さん学生生活を目一杯楽しんで、どんどん海外に出て行きましょう!

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