卒業生の声

大学生は特権階級!

2006年度卒業生 小倉 久(株式会社マガジンハウス・Hanako編集部)
出来上がった雑誌をチェック

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在学生、ならびにこれから上智大学史学科を目指すみなさまへ
はじめまして。マガジンハウスという出版社で雑誌の編集者として働く小倉と申します。
06年卒の社会人8年目、30歳。もう立派なおじさん(体型)の僕ですが、皆さんと同じように上智大学で歴史を学んだ4年間がありました。

専攻は西洋近現代史、井上茂子先生のゼミに所属しドイツ史研究を志しました。卒論テーマは、「ドイツといえばビール!」という趣味と実益を兼ねた安易な発想からビール醸造業の歴史に決めたものの、ドイツ語というベルリンの壁よりもはるかに高く硬い壁を前にして挫折。結局、英語文献のみで卒論が書けそうな、「アメリカにおけるドイツ系移民とビール醸造業の歴史」に落ち着いたのでした。

就職活動では志望を出版社(特に雑誌を刊行しているところ)だけに絞り10社ほど受験。
面接試験時に、卒論テーマである「ビールの歴史」話で一番盛り上がった会社に就職することができました。それから今までずっと雑誌の編集をしています。どうして出版社だけに絞ったかといえば、史学科での勉強と経験を無駄にしたくなかったからです。すなわち、仮説を立て、史料(仕事では資料ですが)を集め検証し、証明するということ。それを仕事として生かすなら何がいいかと考えたとき、雑誌ジャーナリズムしかない!と思ったのでした。いま考えるとそんなことは全くなくて、それこそどんな会社でもどんな仕事でも、仮設→検証→証明というプロセスは当たり前のアプローチです。もしタイムトリップして当時の僕に会えるなら、もっと給料がよくて労働時間も短くて安定した業界を受けろ!と頬を引っ叩いて改心させてやりたい!です。

とはいえ、就職について後悔はしていません(もっとお金欲しいな、お休みも欲しいな、と毎日念仏のように唱えてはいますが)。雑誌編集という仕事はとても楽しく、やり甲斐のある仕事です。どんな仕事か簡単に説明しますと…僕は創刊26年になる女性誌「Hanako」編集部に所属していて、その男性版別冊「Hanako FOR MEN」を担当しています。
Hanako編集部は一人の編集者が一冊まるごと雑誌をつくる体制なので、年間4冊、三か月に一冊のペースで特集を担当します。特集は「カレー」だったり「お寿司」だったり「肉」だったりとその都度テーマが異なります。感覚としては3か月間でひとつ卒論を書いているような感じですね。テーマが決まったら情報収集(参考図書を読み漁り、フィールドワーク、聞き込み調査など)、一冊の構成を考え、取材撮影を行います。取材撮影が終わればあとはデザインを決めて、原稿を書いて、印刷出版、という流れです(実際はもっと作業ありますがちょっと省略)。どうです、とても史学科学生向きな仕事でしょ!

日々の業務をしていると、学生のときにもっともっとアカデミックな体験をしていればよかったと思うことが多々あります。史学科だけではなく他の学科の講義をたくさん受けておけばよかったとか、図書館にあふれる本を読み漁っておけばよかったとか。とにかく教養の重要性を痛感するのです。あとは旅。ゆっくり気ままに旅をする、それは大学生の最大かつ最高の特権だと思います。そう、大学生は特権階級なのです! 4年間でいかに自分の見聞を広めることができるか。それがその後の人生に大きく影響することは疑う余地がありません。そして史学は最強の教養なのです。上智大学史学科で大いに学んで、社会に貢献できる大人になりましょう。僕もまだまだ頑張ります。

こういう雑誌をつくってます

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