卒業生の声

大学時代史学科で私が学んだこと

2010 年度卒業生 中根朋子(阿見町役場職員)
勤務中の様子

勤務中の様子

在学中は東洋史を専攻し,卒業論文は中国南宋代の胥吏(ノンキャリア)と地方官僚(キャリア)のかかわりについて研究をしました。現在は地元の茨城県阿見町で地方公務員として働いています。
大学時代史学科で私が学んだことは,史料を読む際に主観にとらわれることなく,多角的な視点で読むということの大切さです。物事を考える際に自らの固定観念や先入観を持ってしまうと,視野が狭い思考しかできません。自分でも気づかないうちに持ってしまっている固定観念や先入観を捨てて柔軟な発想をすることで,今まで見えなかったものが見えてくる。多角的な視野で考察することで新しい発見がある。このことが,私が史学科で学んだ一番大切なことだと感じています。

私は現在,商工観光課という部署で観光物産の仕事をしています。イベントや祭りなどで土日の出勤が多くある部署ですが,とてもクリエイティブで充実した仕事ができます。

商工観光課に配属される前は,税務課で地方税の課税を担当していました。税務課では地方税法と阿見町税条例という,法律や条例に基づいての公平・公正な仕事が求められていました。一方,商工観光課では自由な発想と,それを実現させるフットワークの軽さが重要です。「公務員らしい仕事」から「公務員らしからぬ仕事」へと真逆の方向転換でしたが,どちらの業務もとてもいい経験になっています。地方公務員の仕事は税務・財政・福祉・教育・観光・環境・都市計画など,どれも地域住民の生活に必要なものですが,それと同時にとても幅広いものでもあります。各部署では制度や政策,法律に精通したその分野のスペシャリストとなり,最終的には様々な部署を経験してゼネラリストを目指します。年々多様化・複雑化する地域住民の様々なニーズに対応するためには,多角的な視点を持つことが必要不可欠だと思います。

これからの日本社会は超少子高齢化の時代を迎え,海外からの労働者や移民の受け入れの増加などによって,国際化がさらに加速することが予想されます。様々な歴史や文化をもつ人々とのかかわりの中で,歴史的認識やそれぞれの価値観の違いを理解することは大変重要です。上智大学文学部史学科を目指す皆さんや在学中の皆さんは,史学科での4年間の学びを通して,現代社会,そして国際社会に対応できる思考力を是非身に付けてください。

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