卒業生の声

受験生の皆様へ

2008年度卒業生 小野瀬聡美(医療情報系事務)
ゼミ仲間と(筆者は右から三人目)

ゼミ仲間と(筆者は右から三人目)

大学で史学科を専攻する動機は様々かと思われますが、多くはおそらく私のように、高校で学んだ歴史の授業がきっかけではないでしょうか。しかしながら、高校の授業のイメージを持ったまま入ると、少し想像していたことと違うな、と思うかもしれません。というのも、高校ではただ教科書の内容をそのまま受け入れ、覚えていくだけでよかったことが、大学の授業では、史料を読み込み、その史料の情報を的確に把握し、さらにはその情報を疑い事実を追及するという、かなり地道で根気のいる作業となるからです。

新入生の方々にとっては、まずその違いを知ることから始まると思いますが、上のようなアプローチで作業に取り組んでいくことによって、高校の時に学んだ時とは違った面白さを発見できるのではないかと思います。

また、歴史学が卒業後、日常生活にどう活かされるのかということがよく言われますが、たしかに経済学や法律学に比べると、歴史学の実用性についてはっきりとした答えが出てこないかもしれません。卒業し、歴史研究とは離れた仕事をしている私が思うことは、日常生活や仕事に直接には活かされないかもしれないけれども、少なからず何かしらの形で自分の考えや行動の支えになっているということです。これは歴史学だけではなく、大学で学ぶ他の諸学問にも言えることではないでしょうか。

また、社会に出ていくと様々な背景を持つ人と関わりながら生活することになります。周囲との良い人間関係を結ぶには、自分や相手に対する理解が必要となってきますが、人間やその営みの記録である歴史学を学ぶことは、その手助けのひとつとなると思います。

自分の大学時代を振り返り改めて感じたことは、将来研究者を目指そう目指さないにかかわらず、指導教員の研究に対する姿勢や見方を受け入れ実践してみることが、いかに大事であったかということです。

在学中、ある講義で、「歴史は本から学ぶだけではなく、実際にその舞台を訪れ、肌で感じる必要がある」と言われました。私は聖書考古学についての文献を読み、それを卒業論文としましたが、この言葉に急き立てられ、4年生の夏にイスラエルの遺跡発掘作業に参加しました。発掘自体は私の扱った内容とは全く異なりましたが、作業以外の間で聖書に出てくる町や遺跡に訪れたことで、読んでいた本の内容がより理解ができたと感じましたし、この言葉の通りに実践したことで非常に良い経験ができたと思っています。

以上、歴史学を学ぶことについて、私の史学科で取り組んだことについて述べましたが、最後にお伝えしたいのは、勉学だけが学生生活ではないということです。学生時代の間、自分がやりたいと思うことは、金銭的な面が許せば、とりあえず行動に移してみてください。というのも、自分がやりたいことは時間がある学生のうちにしかできないことを、身をもって感じているからです。また、勉学、サークル、アルバイトなんでも良いですが、なにかひとつ打ち込めるものを探してください。学生時代に打ち込めたものが一つでもあれば、卒業後それが自信となるのではないかと思います。

皆様の大学生活が、有意義な時となることを心より願っています。

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