卒業生の声

史学科専攻だったからこその今 

2004年度卒業生 増間大樹 (リクルートキャリア勤務) 
オフィスにて

オフィスにて

皆さん初めまして。04年度卒の増間大樹(ますま だいじゅ)と申します。
史学科卒業後は、一橋大学大学院の社会学研究科にて修士号を取得し、新卒で株式会社リクルートキャリアに入社。現在はコンサルタントとして、医薬品業界の人材紹介を行っています。
もう少し自己紹介をさせて頂くと、卒業論文の題目は「中世北欧における信仰 -『改宗』とキリスト教の『現地化』-」、同様に修士論文は「14世紀中葉のストックホルム -ハンザとの関係性に注目して-」となります。入学当初は、『エッダ』を史料として北欧神話の研究を考えていました。サークルはスキーサークルとジャズ研究会に所属(大学院からは他大生となりましたがSafro Familyにも)、アルバイトも予備校での進学相談を行っていました。大学院も含めると6年、手前味噌ですが学業もそれ以外も、かなり充実していたのではと思います。

さて、歴史学と人材業界、更には医薬品業界となると、一見接点を見出しづらいかと思います。ただ当の本人としては、案外学生時代の財産は今に生きているのではと日々感じています。
1つはツールとしての語学。西洋史専攻となると、日本語や英語はもちろん、第二外国語や専攻地域の母国語、時代やテーマによっては例えばラテン語等、様々な言語読解能力が求められます。 私の場合は、ドイツ語・スウェーデン語・ラテン語を使用。ドイツ語は大学院入試の必須科目でした。
2つ目は情報の収集及びその精度を疑うスタンス。
情報化社会と言われて久しいようにも思いますが、このサイト然り、今やインターネットで個人がアクセスできる情報量は爆発的に増えたことは疑いようがありません。では、その個々の情報の質となると……、これは千差万別なのは言わずもがなですね。
こうした情報の取捨選択であったり、精度やソースの追及であったり、これは歴史学で培われたものだと思っています。例えば学士時代だと、「異教」の記録はキリスト教側によるもので、何かしらのバイアスがある可能性は十分にあります。

現在担当の医薬品業界では外資系企業も多いため、メールや書類が英語なことは珍しくなく、本国のWebサイトで情報を検証したり、時には英語で担当者とやりとりを行うこともあります。また業界内での転職が多いからこそ、そこで飛び交う情報の質にも敏感である必要があり、お客様からの期待の1つは「正確な最新の情報」を提供することです(※もちろん相手の方が北欧出身だったりすると、その際にはかなり話が盛り上がります!)。
文系であった自分が理系の修士・博士の方を対象に医薬品業界の専門職のキャリアカウンセリングを行う、またそうした方をターゲットとした採用活動についてのコンサルティングを製薬企業に行う…、というのはなかなか難易度の高い仕事です。また、年上の方とお話しすることが多いですし、常に業界の動向や最新情報を入手していないと、お客さまから信頼して頂くことはできません。日々勉強ですが、日本語文献が多い分楽だな……、と思ってしまうのは学生時代を経たからこそだと思っています。
抗生物質すらなかった中世専攻の私からすると、最近のバイオ医薬や再生医療等について話している今は想像もつかなかったでしょうが、逆に今の私からすると、語学と情報収集・活用メソッドを学生時代に培った自分がいるからこそ今の私があるのだろうなと思っています。

これからの大学生活、「何を」学ぶかという点は非常に重要です。ただ、それによってご自身の将来が決まってしまうということは基本的にありません。
実際に私は「何を」でなく、「どのように」学ぶかという方法論を現在に活用しているかと思います。もちろん、「誰と」学ぶかという点も重要です。
 今でも学生時代の恩師・学友とはやり取りがあり、「歴史」を通じて集った仲間との縁を感じています。
「歴史」に興味をお持ちなのであれば、是非史学科に飛び込んでみませんか?
後輩となって下さることを楽しみにしています。

ハンザ都市Visbyの聖マリア聖堂

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