卒業生の声

史学科と私

2013年度卒業生 檜垣 盛(伊藤忠商事株式会社)
仕事も遊びも本気です。 社会人として初の愛車は、オートリキシャー(通称トゥクトゥク)

仕事も遊びも本気です。
社会人として初の愛車は、オートリキシャー(通称トゥクトゥク)

■はじめに
私は、上智大学の2009年度生として史学科に在籍し、現在は総合商社に勤務しています。史学科生として自分なりに大学と向き合い、その結果として今の自分が居ます。その史学科のホームページが開設されるにあたり、近況報告を寄稿させて頂ける事を大変光栄に思います。

■今の仕事
総合商社には幅広い商材や機能を扱う部署がありますが、私の所属は、トラックをアフリカに輸出する課で、担当は国別に割り振られています。社内では、輸出入の営業で外国と直接やり取りする部署ばかりではありませんが、最も典型的にグローバルな職場で働くことになりました。

就職活動中、「グローバルな仕事」という言葉ほど胡散臭い宣伝文句はないと感じていました。しかし、同じ部には、地域別の担当課が並んでいるために、(標準時ごとに)時間帯によって様々な地域の駐在で身につけた外国語で電話対応する声が聞こえます。現地に駐在社員や資本を送り込んで対応し、新入社員の目にはとてもダイナミックに見えます。

幅広い商材や機能を扱う部署があるだけあり、個人の独自性を見て配属されたと思います。日本人に馴染みの薄い遠国と取引するにあたり、西洋史を専攻していたことで知り得た歴史的文脈や、各地をバックパッカーとして旅 した経験は、御国柄を理解するのに活きます。英語に加えて複数の外国語を学んだことは、営業担当上、活用できるシーンも多くなります。

決してこういった知識が直接的に活きる訳ではありませんが、それらを学んできた知的好奇心やバイタリティは、業務の傍ら、自己研鑚を底支えしてくれることになるのではないかと思います。

■学生時代
学生時代は、西洋史コースの長井ゼミ(フランス史/近世史)に所属していましたが、大学や専攻に囚われることなく幅広く自己研鑚の機会を求めました。
様々な経験ができたことと、今の仕事と全く異なる分野を専攻できたことの、両方のお陰で有意義な学生生活を送ることが出来たと思います。

自分がある分野ばかりを学んでいて良いのかという葛藤は、どの学生にも訪れるものです。上智大学のように様々な分野を学ぶ学生が一つのキャンパスで過ごしているのだから、隣の畑が青く見えてしまうのも自然なことだと思います。私はその葛藤のお陰で、色々なものに目が向きました。

必修の教養科目を超えた、専門の講義や自分の目で見た体験こそが、社会に出たときに非常に有意義な教養になると思います。上智大学のカリキュラムは先進的な部分があります。積極的に他学部の講義や副専攻コースも履修し、様々な分野の講義を聞くことが出来ました。また、外国の歴史や言語を学んでいれば、現在の実情がどうなのか、好奇心が湧きました。
1年の休学を含む5年の在学期間を通して、合計5カ国に留学し、約70カ国を訪れました。

とはいえ、私は史学科生として優等生ではなかったかもしれませんが、史学科は自分の経歴の基礎にあります。人文系の出身は、商社マンの中では少数派ですが、その独自性は常に前向きに活きます。

学生時代に打ち込んだ分野の道に進んだ方は、その分野以外のことに触れる機会は少ないかもしれません。私が本当に尊敬できる人生の豊かさのある人生の先輩は、職業のプロとして成功しながらも、業務外の知識やスポーツにも深い素養がある先輩です。その職業分野とは別に深める教養として、歴史や歴史学は世間でも広く認められる分野だと思います。

■おわりに
私にとって、学生時代はもう過去のことですが、良い思い出がたくさん詰まっています。時々、上智の現役生がOB訪問としてお喋りをしに来て下さりますが、上智大学や史学科の現在が知れるのが楽しみになっています。まだ選択ができる方は、ぜひ有意義な学生生活を選びとって下さい。史学科と史学科の皆様のご健勝とご活躍をお祈り致します。

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