本事業は、2016年に採択された文部科学省の助成金事業で、
学長のリーダーシップのもと分野を超えた文理融合型の研究です。
持続可能な開発目標(SDGs)実現に資する国際的な研究と
教育拠点の確立を目指しています。
現在、湿地の消失・劣化は深刻です。日本では明治・大正時代に存在した湿地面積の約6割にあたる1,289.65平方キロメートルが減少したと言われています。(国土地理院調査)いま求められていることは、湿地を守り、壊さないようにうまく使うワイズユースの工夫や取り組みです。しかしながら従来の縦割り型学問分野の中では、複合・複雑な環境問題の抜本的な解決策を見出すことが出来ません。
本事業は学融合の理念を用いて、ミクロ(微生物、藻類)スケールからマクロ(河川・湿地環境管理規制)スケールまで統合解析を行い、環境保全社会が求めている新しい学問の創出に貢献しています。
ラムサール条約登録湿地。流入河川はなく、周辺の砂丘からの湧水で涵養(かんよう)されている湿地。特徴のひとつは鳥類相が豊富で、これまでに208種の鳥類が確認されている。冬期はカモ類が多数飛来し、コハクチョウの越冬数は毎年3,000羽以上で、越冬地として全国有数の場所である。
詳しくみる日本で一番長い川をほこっている。人間に恵みをもたらすと共に氾濫を繰り返し、人々を苦しめてきた。令和元年10月台風第19号豪雨でも信濃川水系の千曲川上流域から信濃川中流域の広域にわたって甚大な被害が発生した。水害との戦いの重要な戦場である。
詳しくみる足尾鉱毒事件関連で作られた日本最大の遊水池である。緑豊かな広大なヨシ原が特徴で、多数の動植物がそこに生息しており、2012年にラムサール条約の登録湿地になった。しかし、足尾鉱毒事件から100年経っても遊水地の土壌には銅などの鉱毒物質が多く含まれている。
詳しくみる手賀沼は1955年頃までは水底が透けて見え、うなぎなどの漁獲が多い清澄な沼であったが、その後の高度経済成長による周辺の都市化に伴い、手賀沼に注ぐ大堀川、大津川に生活排水や産業排水が流された結果、1974年から2000年までの27年間、水質は日本のワースト1位であった。
詳しくみる多摩川は、山梨県・東京都・神奈川県を流れて東京湾に注ぐ一級河川である。源流部や上流域は山岳渓谷美に富んだ清流となっており、中流域は礫河原をなし、カワラノギクやカワラサイコ等河川敷に特有な植物がある。下流域では河口付近の汽水域にはヨシ原が広がり、ヒヌマイトトンボや鳥類等の貴重な生息域になり、都市と河川が調和した良好な河川景観を形成されている。
詳しくみる蕪栗沼は北上川の自然遊水地でもあり、多くの面積をヨシやマコモ、ヤナギ群落など植物が覆っており、タコノアシやミズアオイなど氾濫源や湿地に生える希少な植物も観られる。冬に最大で4万羽のガン類が確認されている全国でも有数の渡り鳥の飛来地になっている。
詳しくみる中国の青海省、甘粛省、内モンゴル自治区を流れる中国第二の内陸河川。流域内の湿地の回復・保護プロジェクトにより、黒河の流域に生息する各種の貴重な鳥の数が増えている。中流域の特徴は年間降水量が 100-200mm 程度という乾燥地に位置するにもかかわらず、大規模な農業が行われている。
詳しくみる台湾海峡と大甲渓河口の汽水域にある湿地であり、その夕陽の美しさが絶景スポットとして注目を集めている。高美湿地には絶滅危惧種かつ台湾固有種とされるウキヤガラ種に属する雲林莞草が生息している。鳥類が9種の保護種目を含む34科135種、蟹類は7科30種となっている。
詳しくみるタイ中央部を縦断するタイ最大の河川であり、流域ではタイGDPの約60%を生産していて、経済的に極めて重要な地域である。しかし、水害リスク増加と水質汚濁深刻化はこの流域が抱えている課題である。
詳しくみるインド最南部に位置するケララ州は、目の前にアラビア海、背後には西ガーツ山脈が南北に続く、細長い地形である。年間を通して最高気温は30度前後、最低気温も20度以上という穏やかな気候で、モンスーンの影響で雨も多く降るため、運河が数多く築かれた水の都であり、その水郷地帯の風景が人を魅了している。しかし、2018年8月にケララ州を襲ったモンスーンによる壊滅的な洪水が生じ、計410人以上が死亡、100万人以上が避難した。
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