上智大学

持続可能な地域社会の発展を
目指した「河川域」をモデルとした
学融合型国際共同研究

本事業は、2016年に採択された文部科学省の助成金事業で、
学長のリーダーシップのもと分野を超えた文理融合型の研究です。
持続可能な開発目標(SDGs)実現に資する国際的な研究と
教育拠点の確立を目指しています。

学融合と水と土壌と統合管理賢明な利用

事業理念

現在、湿地の消失・劣化は深刻です。日本では明治・大正時代に存在した湿地面積の約6割にあたる1,289.65平方キロメートルが減少したと言われています。(国土地理院調査)いま求められていることは、湿地を守り、壊さないようにうまく使うワイズユースの工夫や取り組みです。しかしながら従来の縦割り型学問分野の中では、複合・複雑な環境問題の抜本的な解決策を見出すことが出来ません。
本事業は学融合の理念を用いて、ミクロ(微生物、藻類)スケールからマクロ(河川・湿地環境管理規制)スケールまで統合解析を行い、環境保全社会が求めている新しい学問の創出に貢献しています。

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OUTLINE

チーム紹介

TEAM
川

河川・湿地チーム

環境問題の複雑性の解明と環境問題の解決策の普遍性を追い求めている。主な調査地は、渡良瀬遊水地、佐潟、手賀沼、円山川、蕪栗沼、多摩川、黒河、チャオプラヤ河。

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土

土壌・微生物チーム

理工学部のメンバーによって構成されているチーム。主な調査地は、渡良瀬遊水地、サロベツ湿原、多摩川。

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議論

法律チーム

日本で湿地の機能を最大限活用するための法制度のあり方を検討すること目的している。主な調査地は、円山川、台南。

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研究

社会・経済チーム

湿地と河川の生態系を人間と環境の視座から多角的に考察する研究活動をしている。主な調査地は、渡良瀬遊水地、チャオプラヤ河、インドケララ州の洪水。

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研究レポート

REPORT
  1. サロベツ湿原
  2. 佐潟
  3. 信濃川
  4. 渡良瀬遊水地
  5. 手賀沼
  6. 多摩川
  7. 円山川
  8. 蕪栗沼
  9. 黒河(中国北西部)
  10. 高美湿地(台湾)
  11. チャオプラヤ河(タイ)
  12. ケララ(インド)

サロベツ湿原

サロベツ湿原

日本最大の高層湿原。長年にわたり泥炭採掘による撹乱をうけ、いまだに植生が回復していない地域が存在する。

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佐潟

佐潟

ラムサール条約登録湿地。流入河川はなく、周辺の砂丘からの湧水で涵養(かんよう)されている湿地。特徴のひとつは鳥類相が豊富で、これまでに208種の鳥類が確認されている。冬期はカモ類が多数飛来し、コハクチョウの越冬数は毎年3,000羽以上で、越冬地として全国有数の場所である。

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信濃川

信濃川

日本で一番長い川をほこっている。人間に恵みをもたらすと共に氾濫を繰り返し、人々を苦しめてきた。令和元年10月台風第19号豪雨でも信濃川水系の千曲川上流域から信濃川中流域の広域にわたって甚大な被害が発生した。水害との戦いの重要な戦場である。

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渡良瀬遊水地

渡良瀬遊水地

足尾鉱毒事件関連で作られた日本最大の遊水池である。緑豊かな広大なヨシ原が特徴で、多数の動植物がそこに生息しており、2012年にラムサール条約の登録湿地になった。しかし、足尾鉱毒事件から100年経っても遊水地の土壌には銅などの鉱毒物質が多く含まれている。

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手賀沼

手賀沼

手賀沼は1955年頃までは水底が透けて見え、うなぎなどの漁獲が多い清澄な沼であったが、その後の高度経済成長による周辺の都市化に伴い、手賀沼に注ぐ大堀川、大津川に生活排水や産業排水が流された結果、1974年から2000年までの27年間、水質は日本のワースト1位であった。

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多摩川

多摩川

多摩川は、山梨県・東京都・神奈川県を流れて東京湾に注ぐ一級河川である。源流部や上流域は山岳渓谷美に富んだ清流となっており、中流域は礫河原をなし、カワラノギクやカワラサイコ等河川敷に特有な植物がある。下流域では河口付近の汽水域にはヨシ原が広がり、ヒヌマイトトンボや鳥類等の貴重な生息域になり、都市と河川が調和した良好な河川景観を形成されている。

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円山川

円山川

兵庫県北東部を流れる一級水系の本流。円山川流域内の豊岡盆は国の特別天然記念物であるコウノトリの生息地であり、2012年に「円山川下流域・周辺水田」がラムサール条約に登録された。

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蕪栗沼

蕪栗沼

蕪栗沼は北上川の自然遊水地でもあり、多くの面積をヨシやマコモ、ヤナギ群落など植物が覆っており、タコノアシやミズアオイなど氾濫源や湿地に生える希少な植物も観られる。冬に最大で4万羽のガン類が確認されている全国でも有数の渡り鳥の飛来地になっている。

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黒河(中国北西部)

黒河

中国の青海省、甘粛省、内モンゴル自治区を流れる中国第二の内陸河川。流域内の湿地の回復・保護プロジェクトにより、黒河の流域に生息する各種の貴重な鳥の数が増えている。中流域の特徴は年間降水量が 100-200mm 程度という乾燥地に位置するにもかかわらず、大規模な農業が行われている。

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高美湿地(台湾)

高美湿地

台湾海峡と大甲渓河口の汽水域にある湿地であり、その夕陽の美しさが絶景スポットとして注目を集めている。高美湿地には絶滅危惧種かつ台湾固有種とされるウキヤガラ種に属する雲林莞草が生息している。鳥類が9種の保護種目を含む34科135種、蟹類は7科30種となっている。

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チャオプラヤ河(タイ)

チャオプラヤ河

タイ中央部を縦断するタイ最大の河川であり、流域ではタイGDPの約60%を生産していて、経済的に極めて重要な地域である。しかし、水害リスク増加と水質汚濁深刻化はこの流域が抱えている課題である。

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ケララ(インド)

ケララ

インド最南部に位置するケララ州は、目の前にアラビア海、背後には西ガーツ山脈が南北に続く、細長い地形である。年間を通して最高気温は30度前後、最低気温も20度以上という穏やかな気候で、モンスーンの影響で雨も多く降るため、運河が数多く築かれた水の都であり、その水郷地帯の風景が人を魅了している。しかし、2018年8月にケララ州を襲ったモンスーンによる壊滅的な洪水が生じ、計410人以上が死亡、100万人以上が避難した。

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