ベルギーの学園都市で異文化を学ぶ

武井晶恵

 ベルギーって何語?そう思われる方も少なくないと思いますが、私は今ベルギーのフランス語圏の大学に留学しています。首都ブリュッセルから電車で一時間ほどの小さな学園都市です。駅名はなんと大学名であるルーヴァン・ラ・ヌーヴ・ユニヴェルシテ(louvain-la-neuve université)。学生と校舎、それから本屋にスーパーに映画館となんでも一つずつある、街全体がまるで一つのテーマパークのようなところです。ベルギーにはフランス語はもちろん、オランダ語、ドイツ語と3つの公用語があります。国歌ももちろん3言語あり、国民みんなで歌うことができないという事実に衝撃を受けました。と同時に日本もまた日本語だけの特殊な国であることに改めて気付かされました。

  ここへ来て5ヶ月ほど経ちました。貴重な留学生活のちょうど折り返し地点です。勉強に関しては現地学生と同様の授業をフランス語で受けるので非常に大変です。それでも理解しようと努力していく過程に意味があると信じて頑張る日々です。

  さて、なぜ私がベルギーを選んだのか、それはベルギーの特殊な寮事情にあります。ベルギーでは学生が住む寮のことをコット(kot)と呼び、ワンフロア7〜10人のルームシェアのようなイメージです。なかでも私はイベントを企画するコッタプロジェ(kot-à-projet)という特殊な寮に住んでいます。その名もコット漫画!日本好きなベルギー人8人と数えきれないほどの漫画に埋もれて生活しています。漫画の貸し出しや、日本食会、ハロウィンには肝試しという名の仮装パーティーをするなどのイベントを行っています。文化の違う人たちとの共同生活、イベント企画は本当に大変です。うまく言いたいことが伝わらず最初のうちは我慢の連続でした。でもここで生活していくには、おとなしい日本人であってはいけないのです。自分の主張をすることで嫌な顔をされることはありません。日本人にとっては失礼で図々しいと思うようなことも、ここではむしろ普通です。(もちろん日本人としての精神をなくす必要はありません。)うまく行かないこと、嫌なこともたくさんありましたが、その反面、外国人の視点から見た日本を知り、また逆に自分の想像とは違う外国人の姿を知り、改めて日本の素晴らしさに気付き、異文化の中で生きる術を日々学びながら生活していくことは非常に刺激的です。半年近く経った今だからこそ思えるようになったことは「ここでしかできないことをやる、楽しんだもん勝ち」ということです。すべては自分次第で世界は180度変わります。この留学という貴重な機会を頂けたことに感謝しつつ、残りの日々も全力投球で挑みたいと思います。

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 ベルギー到着初日、ルームメイトたちとの漫画の整理から始まりました

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肝試しという名のハロウィンパーティーで仮装をし、カボチャ入りたこ焼きやわさび入り激辛おにぎりを振る舞いました

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 アトリエ寿司という寿司作り講座のイベントでは日本酒で乾杯しました