SSC発足の経緯と今後の展望 

Sophia Shakespeare Company について 

東郷公徳

 19873月に英語学科を卒業した僕は、ぎりぎり、メイスン神父が指導したSMPの最後の公演の幾つかを直に観ることが出来た。また、メイスン先生のカリスマ的に魅力的なお人柄に直接触れることも出来た。1年間浪人生活を送った後で、国際関係法学科と英語学科の両方に合格して、どちらかと言えば前者に入学しようと思っていた僕が英語学科に入学したのは、入試の面接の担当のひとりがメイスン神父で、「君は英語学科に来ますよね」とにこやかに微笑みながら差し出された先生の温かい右手に右手をぎゅっと握られて、その時の笑顔と手のぬくもりの印象があまりにも強烈だったからであった。

 1992年に英語学科に教員として戻って来た後、SMPが段々部員も減少し、最後に残った4名の部員が卒業して2004年にその歴史を終えるのを目撃し、とても残念だった。ちょうど、シェイクスピアを専門とする者として、遅ればせながら演劇の世界に少しずつ関わるようになっていた僕は、SMPと、更に、シェイクスピア劇を英語で上演する劇団として1970年代から80年代初頭にかけて活動していたシェイクスピア研究会(蜷川幸雄の幾つものシェイクスピア作品で主役を務め、最近テレビや映画でも活躍している吉田鋼太郎さんはこの「シェイ研」出身だ)のふたつの劇団を合わせて復活させたいと、いつしか考え始めていた。

 そして、遂に20125月に、前年度から僕の授業に参加していた演劇好きの学生たちに声を掛けて、彼らを中心に結成されたのがSophia Shakespeare Company (通称SSC)だった。僕は顧問を務めることになった。初回は、その年のソフィア祭の時に1号館の教室で『冬物語』を上演した。初回と第2回目の『十二夜』は、学生が演出も担当したが、3回目の『から騒ぎ』以降は、顧問の僕が演出を担当した。これまでに上演した作品は下記の通りだ。

2012年11月 旗揚げ公演 The  Winter’s Tale

20133月  第2回公演 The Twelfth Night

2013年7月  第3回公演 Much Ado About Nothing

2013年12月 第4回公演 The Merchant of Venice

2014年12月 第5回公演 Othello

2015年7月  第6回公演 The Twelfth Night

2015年12月 第7回公演 Macbeth

2016年7月  第8回公演 A Midsummer Night’s Dream

 会場については、第5回目までの公演は全て上智大学1号館1階の教室で行ったが、第6回目の公演からは、Art Theatre かもめ座(南阿佐ヶ谷)で上演している。

 第9回目となる次回は2016123日(土)~4日(日)に、Art Theatre かもめ座で、旗揚げ公演で上演した『冬物語』を再演する予定だ。4月に10数名の新入部員を獲得して、俄かに活気づいているSSCだが、今回はなんと照明と音響の担当にプロフェッショナルのお二人をお迎えしている。彼らの力も借りて、これまでにない充実した公演をお届けできるように、部員ともども稽古に励みたい。

 今後は、益々部員数も増やして、上智大学を代表する本格的な劇団として認められるような高水準な活動をして行きたい。そして、いつかは、SMPやシェイクスピア研究会が活躍した1号館講堂(通称は上智小劇場)での公演も実現したい。

 皆さまの温かいご支援を、どうかよろしくお願い致します。