ACTIVITIES
研究所の活動
「国際構造変化とヨーロッパ:EU―アジア(インド太平洋)関係の探究」
【期間】:2024-2028
【研究代表者】:岡部みどり(SIIR 所員)
【概要】
本プロジェクトは、⽶中覇権競争、ロシアの軍事パワーとしての台頭などに⾒出される現代国際関係の変化が欧州連合(EU)のあり⽅や加盟国の対域外国際関係に与えるインパクトを探究するものです。とりわけ、EU のインド太平洋戦略や対中、対⽇関係の経緯や現状を考察し、アジアの台頭と EU の相対的な地位の低下という国際構造変動についての仮説の検証を⾏います。分析を通じた学術的な貢献に加え、⽇本の対欧州外交にあたっての⽅針設定への問題提起も⽬指します。
本研究は⼤きく3つの柱で構成されています。
1. EU 制度化の探究
・ EU 加盟国はいかにして欧州統合に関与してきたか、EU 機関(欧州委員会、欧州議会、閣僚理事会、欧州司法裁判所など)は欧州統合の発展を促したのか、あるいは妨げているのか、権威主義的加盟国(ハンガリーなど)や加盟国内の極右/ポピュリスト政治勢⼒の台頭は、欧州統合を⽬的とする加盟国間交渉にいかなるインパクトを及ぼしているのか、等について検討します。
2. EU(加盟国)の域外関係変容の追究
・ ユーロ危機、難⺠危機などをきっかけとして加盟国間の「連帯」が危ぶまれているEU ですが、その様相を EU や加盟国の域外国との外交関係から明らかにします。とりわけ、EU/加盟国はエネルギー資源や貿易、投資分野などにおいてロシアや中国といったいわゆるリベラル国際秩序への挑戦国との相互依存体制を構築してきました。しかし、⽶中覇権競争やロシアの軍事的台頭の顕在化を受け、そのような相互依存体制の抜本的な再検討を含む、外交上の⼤規模な軌道修正を迫られています。ここではその時系列的な分析を踏まえ、現状を評価します。
3. EU-アジア(インド)太平洋関係の評価及び展望
・ 2を踏まえ、EU-アジア関係を改めて検討します。まず、EU(加盟国)の対中外交と EU(加盟国)の「インド太平洋」枠組みへの関与の様相をそれぞれ詳らかにしつつ、両者の連関を議論します。分析はイシュー・ベース(つまり争点領域/政策ごと)と各国別事例の⽐較検討の双⽅を踏まえ、両者を照らし合わせる形での包括的なアウトプットを⽬指します。
【研究計画及び成果発信⽅法】
・ SIIR ワークショップ/セミナー. 成果の⼀部はワーキング・ペーパーとして発信
・ 著書出版:2027 年度(2026 年度春から執筆開始予定)
・ 出版記念シンポジウム(SIIR シンポジウム、またはソフィア・シンポジウムとして開催):2028 年度
【研究組織】:基盤研究 B (23H00792)メンバー及び SIIR 所員(有志)
なお、主な研究メンバーは以下の通り(2024 年 6 ⽉現在、敬称略)。
⾜⽴研畿 (⽴命館⼤学国際学部教授)
市川顕 (東洋⼤学国際学部教授)
今井宏平 (JETRO アジア経済研究所研究員)
岡部みどり(本研究代表者、上智大学法学部教授、SIIR 所員)
⿊⽥友哉 (専修⼤学法学部准教授)
⼩島真智⼦(上智⼤学外国語学部准教授、SIIR 所員)
中井遼 (東京⼤学先端科学技術研究センター教授)
中内政貴(上智⼤学総合グローバル学部教授、SIIR 所員)
藤嶋亮 (國學院⼤学法学部教授)
細⽥晴⼦ (⽇本⼤学商学部教授)
森井裕⼀ (東京⼤学⼤学院総合⽂化研究科教授)
⼋⼗⽥博⼈(共⽴⼥⼦⼤学国際学部教授)
渡邊真也(上智大学大学院国際関係論専攻)
【ご参考:本研究関連先⾏プロジェクト】
『世界変動と脱 EU/超 EU:ポスト・コロナ、⽶中覇権競争下の国際関係』⽇本経済評論社(2022 年 2 ⽉。リンクはこちら)
「⽶・中・ロシア⿍⽴にみる国際構造変動と EU」SIIR シンポジウム(2022 年 7 ⽉ 23 ⽇(⼟)、7 ⽉ 28 ⽇(⽊):リンクはこちら)