研究所の活動

ACTIVITIES

研究所の活動

「国際変動期の日本外交・安全保障」

2020年度に始まったこのプロジェクトは、ブレグジットやトランプ政権の誕生、コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻に象徴される国際環境の大変動がどのような因子によって動かされ、またそれが何を意味するのかを解明するとともに、そうした激動に日本がどのように対応しているのか、またすべきなのかについて、広義の安全保障を中心に政策分野別に解明することを目標としました。本プロジェクトはその主たる成果として2023年11月に『専制国家の脅威と日本―分断の中の外交・安全保障』(植木安弘・安野正士編、勁草書房刊)を出版し、また2024年5月13日に出版記念シンポジウムを開催して完結しました。ご協力いただいた皆様に厚く御礼を申し上げます。

 

『専制国家の脅威と日本―分断の中の外交・安全保障』の内容は以下の通りです。

はじめに                                       植木安弘 i

第1章 日本外交にみる三つのアイデンティティ                  植木安弘 1

第2章 日本の安全保障政策と日米同盟の課題                   徳地秀士 33

第3章 国家安全保障会議「司令塔」機能の政治力学                都築正泰 57

第4章 科学技術の管理と経済安全保障の争点―対立軸はどのようにつくられてきたか

                                       齊藤孝祐 109

第5章 「自由で開かれたインド太平洋」構想の基底―先進民主国の成長戦略と自由民主地域連携

                                       樋渡展洋 131

第6章 経済の長期停滞と日本の安全保障—国際金融センター構想の意義     樋渡由美 165

第7章 分断のなかの人権外交                       尾﨑久仁子 191

第8章 自由主義の限界と部族主義の逆襲―分断される世界と日本の選択

                                       安野正士 221

あとがき                                   安野正士 257

 

同書のお求めには、こちらのページから各書店のサイトへのリンクをご利用ください。

 

研究会・関連イベント

本プロジェクトに関連して開催された研究会は以下の通りです (講演者の方々の肩書きは当時のもので、また敬称は省略させていただきました)。

  • 2020.12.7

兼原信克 (同志社大学特別客員教授)『安倍外交を振り返る』

  • 2021.1.18

植田隆子 (香川大学客員教授)『国際社会における日本とEU―経済摩擦から多分野での対話・協力へ―』

  • 2021.3.2

廣瀬陽子 (慶應義塾大学教授)『南コーカサス情勢と日本の外交』

  • 2021.6.3

角茂樹 (星槎大学客員教授)『ウクライナ問題(正教会を中心にウクライナとロシアとG7の関係を考察する)』

  • 2021.7.8

高橋和夫 (先端技術安全保障研究所会長) 『バイデン政権と中東—対イラン関係を中心に』

  • 2022.1.27

高木綾 (関西外国語大学助教)『安全と繁栄のジレンマ―米中関係に見る両用技術の政治経済学』

  • 2022.6.22

佐野利男 (内閣府原子力委員会委員)『核兵器廃絶への道を探る―激変する国際情勢と外交における日本の役割―』

  • 2022.12.16

吉川元 (広島平和研究所特任教授)『クリミア併合の論理―OSCEと失地回復主義の論理―』

 

 

プロジェクト参加者による関連業績

(研究所において把握しているものに限り掲載しています)

 

植木安弘 書評「竹内俊博・神余隆博編著『国連安保理改革を考える:正統性、実効性、代表性からの新 たな視座』東信堂、2021年、日本国際連合学会編『人権と国連』国際書院、2022年。

Yasuhiro Ueki, “Russia’s Aggression Against Ukraine Has Major Implications Throughout East       Asia” PassBlue, April 2022 (https://www.passblue.com/2022/04/04/russias-aggression-   against-ukraine-has-major-implications-throughout-east-asia)

Yasuhiro Ueki, “Russia’s Aggression Against Ukraine and the Pursuit of Individual Criminal     ResponsibilityUS-China Law Review, Volume 20, Number 1, January 2023.

 

德地秀士「新たな『国家安全保障戦略』等の策定を控えて―期待と不安と問題提起―」、SSDP安全保障・外交政策研究会のオンライン記事、2022年12月。

德地秀士「日本の新しい国家安全保障戦略の方向性について」、平和・安全保障研究所編、『大国間競争 の時代におけるインド太平洋』 年報アジアの安全保障2023-2024(朝雲新聞社、2023年)。

Hideshi Tokuchi, “Challenges and global answers for Japan’s post-Covid-19 security strategy,” an     online article on the website of Fondation pour la Recherche Stratégique, December 2021

Hideshi Tokuchi, “Japan’s New National Security Strategy – An Awakened Japan and Its Implications for Taiwan”, an online article on the website of the Prospect Foundation, January 2023.

Hideshi Tokuchi, “Impact of Russian Invasion of Ukraine on East Asian Security,” 『展望與探索』第21巻   7号、2023年7月。

都築正泰 「国家安全保障会議(NSC)『司令塔』機能の政治力学」、国際安全保障学会2023年度年次大会報告(2023年12月3日、慶応義塾大学三田キャンパス)。

齊藤孝祐「先端技術情報の管理をめぐる諸問題」、『治安フォーラム』27巻12号(2021年11月)、         39-46頁。

齊藤孝祐「拡大するイノベーション・エコシステムとコンセンサス形成―米国におけるAI戦略の課題―」、鈴木一人、西脇修編、『経済安全保障と技術優位』(勁草書房、2023年)、193-214頁。

齊藤孝祐「日本の武器輸出をめぐる政策的展開」、「経済安全保障をめぐる相克」、佐藤史郎ほか編、 『日本外交の論点』新版(法律文化社、2024年)、49-58、131-140頁。

齊藤孝祐 「新興技術と安全保障―官民関係の変容がもたらす課題―」、日本軍縮学会2024年度研究大会報告

Kosuke Saitou, “Japan’s National Security and Science-Technology Management,” in Leszek               Buszynski, ed.,   Handbook on Japanese Security (Amsterdam University Press, 2024).

 

Tadashi Anno, “The Liberal International Order: Intellectual Foundations and Sources of Crisis,” SIIR   Working Paper No. 4 (September 2021).

Tadashi Anno, “Tribalism and the Limits of Liberalism: A (Conservative) Japanese Perspective on      Legitimacy in World Politics,” in Sanjay Pulipaka, Krishnan Srinivasan, and James Mayall,               eds., Power, Legitimacy and World Order: Changing Contours of Preconditions and      Perspectives (London: Routledge, 2023), pp. 118–30.