ACTIVITIES
研究所の活動
「リベラルな国際秩序の危機と日本」
2018年度に始まったこのプロジェクトでは、現在の国際関係における最大の問題ともいうべき「リベラルな国際秩序の動揺」の問題について、日本の視点から多面的な接近を試み、国際秩序の動揺の性格と力学、またその将来について新しい知見を獲得することを目標としました。本プロジェクトは、2021年1月に『自由主義的国際秩序は崩壊するのか―危機の原因と再生の条件』(納家政嗣・上智大学国際関係研究所編、勁草書房刊)を出版し、同年4月に出版記念シンポジウムを開催して完結しました。ご協力いただいた皆様には厚く御礼を申し上げます。
『自由主義的国際秩序は崩壊するのか』の内容は以下の通りです。
第I部 序論
第1章 「ガラス細工」のリベラルな国際秩序 納家政嗣・安野正士 3
第2章 自由主義的国際秩序––その思想的背景と危機 安野正士 25
第II部 国際公共圏と自由主義的秩序
第3章 リベラルな国際秩序と国連 植木安弘 57
第4章 内なる危機?––国境管理の国際協力とリベラル国際秩序 岡部みどり 79
第5章 北極ガバナンスと規範形成––大国間紛争という幻惑を越えて 都留康子 101
第6章 自由主義的国際秩序と平和構築––日本の役割を中心に 東大作 123
第III部 主要国の国内過程と国際秩序戦略
第7章 トランプ政権の対中政策––「自由主義的国際秩序の危機」の象徴か、 「理念外交」への回帰か 前嶋和弘 149
第8章 現代中華世界の自由民主と「社会的想像」試論 岸川毅 169
第9章 日本における政治改革と安全保障 樋渡由美 193
第10章 GATTラウンド交渉における多角主義の盛衰 鈴木一敏 217
終章 自由主義的国際秩序と米中関係 納家政嗣 241
あとがき 安野正士 267
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研究会・関連イベント
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2019.6.21
鈴木一人 (北海道大学公共政策大学院教授) 「日本はリベラル国際秩序の担い手になり得るのか」
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2019.5.17
プロジェクト参加者によるディスカッション
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2019.3.27
植木安弘 (SIIR) 「自由主義的国際秩序と国連」
東大作 (SIIR) 「自由主義的国際秩序と平和構築~日本の役割を中心に~」
岸川毅 (SIIR) 「自由民主主義の劣化と後退」、「権威主義の中華世界、自由民主主義の中華世界」 -
2019.2.12
安野正士 (SIIR) 「自由主義的国際秩序の可能性と限界:思想の視角から」
樋渡由美 (SIIR) 「政治改革と日本の安全保障政策」
岡部みどり (SIIR) 「グローバル・マイグレーション・ガバナンスと自由主義的国際秩序」 -
2018.12.21
鈴木一敏 (上智大学総合グローバル学部教授) 「通商分野における行動規範の変化と日本」
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2018.11.16
添谷芳秀 (慶應義塾大学法学部教授) 「日本の価値外交の『虚』と『実』」
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2018.10.17
押村高 (青山学院大学) 「リベラルな国際秩序の両義性―自国第一主義復活の意味―」
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2018.8.1
プロジェクト参加者によるディスカッション
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2018.7.27
古城佳子 (東京大学)「リベラル国際秩序と多国間主義」
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2018.6.22
大橋英夫 (専修大学) 「中国の経済政策の新たな展開」
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2018.6.19
Sebastian von Einsiedel (United Nations University) “The Security Council in an Age of Great-Power Rivalry”
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2018.6.18
Keith Krause (Graduate Institute, Geneva) “Statebuilding and the Crisis of the Liberal International Order”
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2018.5.11
納家政嗣 (SIIR) 「歴史の中のリベラルな国際秩序」
プロジェクト参加者による関連業績
(研究所において把握しているものに限り掲載しています。多くの論文はリンクからお読みいただけます)
- 納家政嗣、「歴史の中のリベラルな国際秩序」、『アステイオン』88号(2018年5月)、14-29ページ
Tadashi Anno, National Identity and Great-Power Status in Russia and Japan: Non-Western Challengers to the Liberal International Order (London: Routledge, 2018). - 納家政嗣他、『自由主義的国際秩序の危機と再生―秩序再編期の羅針盤を求めて【提言報告書】』、(政策シンクタンクPHP総研、2018年10月)
- 東大作、「イラクと南スーダン・平和構築の課題」、『外交』2019年5月号
- 納家政嗣、「国際秩序と中国」、『東亜』2019年10月号(628号)、90-99頁。
- 東大作、『内戦と和平–現代戦争をどう終わらせるか』(中公新書、2020年1月)
- 岡部みどり、「『欧州難民・移民危機』再考:EUにおける人の移動研究への問題提起」、『上智ヨーロッパ研究』12号 (2020年3月)、3-16頁。
- Midori Okabe, “How States React to the International Regime Complexities: A Study of Cases in Southeast Asia and Beyond,” International Relations of the Asia-Pacific, Vol. 21, No. 1 (October 2020), pp. 65-90.
- 納家政嗣、「国際協調は再生できるか」、『国際問題』698号(2021年1・2月)、5-13頁。
- 前嶋和弘、「バイデン外交:トランプ政権からの4つの変化と3つの継続性」、Yahoo News, 2021年5月。
- Tadashi Anno, “The Liberal International Order: Intellectual Foundations and Sources of Crisis,” SIIR Working Paper No. 4 (September 2021)