上智大学 大学院 グローバル・スタディーズ研究科地域研究専攻

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エッセイ(フィールドからの手紙)

アンデスの高地より(1)

山崎 洋之(博士後期課程)

博士後期課程の山崎洋之です。南米ボリビア南西部のウユニ塩湖周辺をフィールドに、アンデス高地のリャマ牧畜を追っています。

まずはフィールドに至るまでが一苦労です。日本から途中米国で1泊しての計20時間以上のフライトの後、ボリビアの首都ラパスに着陸。標高4000mの世界最高所の国際空港に降り立った初日は、頭痛と嘔気の高山病に襲われて宿でグッタリ。低地の約2/3という薄い酸素に体を馴らすこと数日。そこからバスを乗り継いでのフィールドまでの道路は半分以上が未舗装。雨季には道はぬかるんだり濁流で分断されたりで、車中で夜を明かして状況の改善を待つというアクシデントも。そして、ようやく標高3650mのウユニ塩湖に到着。

琵琶湖の15倍以上の面積と、厚さ120mにも及ぶ岩塩の堆積層を有する真っ白なウユニ塩湖。その圧倒的な大自然を眼前にするとヒトの営みは小さく映ってしまいます。高地ゆえの寒冷気候、年間降雨量100mm以下の極端な乾燥、塩分の強い脆弱な土壌という条件により、農作物の栽培は困難な地域です。

しかし、そんな厳しい環境でも生息可能なのが、南米原産のラクダ科家畜動物であるリャマです。古くよりリャマはアンデス高地の住人の生活を支えてきました。かつてはウユニ塩湖で採掘された岩塩を背負ったリャマのキャラバン隊が、物々交換のためにチリ国境まで遠征していたようですが、今ではトラックなどにその運搬を取って代わられています。荷役用として有名だったリャマも、近年のウユニではほとんどが食用として飼養されています。高タンパクで低カロリーなリャマ肉はヘルシー・フードとしても見なおされ、オーストラリアやニュージーランドでは畜産部門のひとつとして成長しつつあります。少しクセはあるものの、仔リャマ肉の香草焼きなどはなかなかの美味です。日本の食卓にもリャマ肉が並ぶ日は近いのだろうか、などと考えつつ中央アンデスの高原アルティプラノを彷徨っています。

■ 目次

インドネシアより(2)

間瀬 朋子(博士後期過程)

インドネシアより(1)

間瀬 朋子(博士後期過程)

カンボジア便り(2)

丸井 雅子(博士後期過程満期退学)

カンボジア便り(1)

丸井 雅子(博士後期過程満期退学)

アンデスの高地より(1)

山崎 洋之(博士後期課程)

東チモールにて(1)

福武 慎太郎(博士後期課程)

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