上智大学 大学院 グローバル・スタディーズ研究科地域研究専攻

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エッセイ(フィールドからの手紙)

カンボジア便り(1)

丸井 雅子(博士後期過程満期退学)

丸井雅子(博士後期課程満期退学)です。1994年8月に上智大学アンコール遺跡国際調査団に参加し、アンコール遺跡群の一つであるバンテアイ・クデイ遺跡にて発掘調査に携わったのが、わたしにとって初めてのカンボジア滞在、そしてカンボジア研究の始まりでした。以来、8年が経とうとしています。

8年過ぎても、なお研究テーマは尽きず、調査を続ける意欲が途切れないのは、ひとえにカンボジアの遺跡が放出する無限の可能性のおかげでしょうか。写真は2001年3月に同遺跡から出土した仏像です。前代未聞の仏像出土に、作業員さん、スタッフ全員で記念撮影をした時のものです。

先日、わたしの姪が通う横浜の学校に、地雷で足を切断されたカンボジア男性が講演に来られました。姪は、その方が話されたカンボジアと、普段わたしから聞くカンボジアがあまりにも違う、という驚きの感想を漏らしていました。

今もって地雷の危険と隣り合わせの農民たち、そして解決の糸口が見つからない貧困問題。街では、物乞いの子供達がうつろな目つきで昼間からシンナーを吸引しています。かたや、わたしが語るカンボジアは、壮大な遺跡と浮き彫り彫刻の美しさであったり、新鮮な野菜や魚を使ったおいしいカンボジア料理であったりと、いかにカンボジアが楽しくて魅力的な場所なのかを印象付けるものばかりだったのかもしれません。

しかし、どちらの側面もカンボジアそのものではないでしょうか。

わたしは現在、シェムリアップに滞在しています。この夏(2002年8月)も、バンテアイ・クデイ遺跡での発掘調査が予定されています。これから、この「カンボジア便り」を通じて、遺跡とそれを取り巻く日常のあれこれを発信していきたいと思います。拙稿「考古班人材養成プロジェクトの歩み」『アンコール遺跡の考古学』(連合出版、2000年)も是非お読みください(2002年6月5日記)。

■ 目次

インドネシアより(2)

間瀬 朋子(博士後期過程)

インドネシアより(1)

間瀬 朋子(博士後期過程)

カンボジア便り(2)

丸井 雅子(博士後期過程満期退学)

カンボジア便り(1)

丸井 雅子(博士後期過程満期退学)

アンデスの高地より(1)

山崎 洋之(博士後期課程)

東チモールにて(1)

福武 慎太郎(博士後期課程)

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