上智大学 大学院 グローバル・スタディーズ研究科地域研究専攻

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エッセイ(フィールドからの手紙)

東チモールにて(1)

福武 慎太郎(博士後期課程)

博士後期課程の福武慎太郎と申します。2001年12月以来、NPO法人シェア=国際保健協力市民の会の現地駐在員として東ティモールに滞在しています。内陸に向けて首都ディリから車で約2時間のエルメラという町で、シェアは保健所勤務の看護士さんたちのトレーニング、そして住民が主体的に健康に生きることができるようにとの願いを込めた保健教育を行っています。

コーヒーで有名な東ティモールの中でも、特にエルメラはコーヒーで生計をたてる農民が多い地域です。ディリからエルメラへの道路沿いには自生するコーヒーの木が生い茂っています。ティモール島は赤道以南の亜熱帯に属しながらも、標高1200メートルに位置するエルメラはとても涼しく、日中でもハリース(テトゥン語で水浴びの意味)するのがつらいくらいです。

写真はエルメラのシェア事務所の前で、日曜日のミサを終えた住民が帰路につく様子を撮影したものです(左側の白い建物がシェア事務所です)。東ティモールはカトリック教徒の国です。なかでもエルメラは古くから信者が多く、地域の信仰の中心となっています。日曜日になるとミサに参加するために遠くは数時間も歩いてエルメラにやってくる人達もいます。あまりの人手のため礼拝堂内に入りきらないので、通常ミサは屋外で行います。

日曜日は町の全てのキオス(商店)が戸を閉ざしています。さすがは敬虔なクリスチャン、安息日をしっかりと守っているのだなと思うかもしれませんが、実は必ずしも店を閉めているわけではありません。裏口にまわると焼きたてのパンの香ばしい香りが漂っています。先客が既にパンを購入していたので私もお金を差し出すとちゃんと売ってくれました。「店を開けているとパードレ(神父)に怒られちゃうからね」(キオスのお母さん談)。表の顔と裏の顔。ちょっとした日常の中にも東ティモールの人たちの柔軟さ、したたかさを垣間見た気がしました。

■ 目次

インドネシアより(2)

間瀬 朋子(博士後期過程)

インドネシアより(1)

間瀬 朋子(博士後期過程)

カンボジア便り(2)

丸井 雅子(博士後期過程満期退学)

カンボジア便り(1)

丸井 雅子(博士後期過程満期退学)

アンデスの高地より(1)

山崎 洋之(博士後期課程)

東チモールにて(1)

福武 慎太郎(博士後期課程)

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