歴史と世界遺産の街への留学

濱川遼太

Grüß Gott!現在オーストリアのグラーツ大学に留学している、ドイツ語学科2年の濱川遼太と申します。オーストリアと聞くと、ウィーンを思い浮かべるかもしれませんが、グラーツはウィーンに次ぐ2番目に大きな都市です。日本で言うならば、さしずめ大阪市でしょうか。しかし、2番目と言えど、人口はおおよそ30万人ほどで、日本の規模の大きさを再認識させられます(大阪市の人口は現時点で約270万人だと言われています)。また、グラーツは街の中心部が世界遺産に認定されており、自宅から5分ほど足を運べば旧市街が広がる歴史豊かな街です。そんな歴史と世界遺産に囲まれた街での留学を、近況を交えつつ、本ブログにまとめようと思います。

大学での生活

グラーツ大学では、ドイツ語の語学(コミュニケーション・文法)と、英国文化に関する講義を受講しています。グラーツ大学はメインのキャンパスを中心に街全体に大学の建物があります。コミュニケーションの講義はメインの建物の中で行われるのですが、文法の講義の教室はそこから10分ほど歩いた小高い丘の上に位置しています。四ツ谷の教室移動の間隔に慣れてしまうと、グラーツでの教室移動はなかなか疲れてしまいます。

大学のメインの建物です。街中にUni Graz(グラーツ大学)の表示があります。

コミュニケーションの講義は、ディスカッションやグループワークを中心に進んでいきます。さらに、私のクラスでは些細な会話であっても「教室内では原則英語禁止」というルールがあり、ちょっとした会話をする時でもドイツ語で意思疎通をしなければなりません。正直、かなり苦しいのですが、確実に自分のドイツ語の表現の幅が増えている感覚があります。また、この地域で話されているドイツ語はシュタイアーマルク方言で、標準ドイツ語と異なっており、授業ではグラーツやオーストリアならではのドイツ語も教えてもらえます。例えばErdäpfel (Kartoffel、ジャガイモ)・Paradeis (Tomate、トマト)・jo, na (ja, nein、はい, いいえ)などです。もちろん先生のドイツ語も標準ドイツ語ではありません。動詞sein(ザイン)の発音が「サイン」と聞こえたり、副詞sehr(ゼアー)が「セアー」と聞こえてきます。グループワークを行う際に、このような表現を用いて会話をすると、少しだけ自分もグラーツ人になったような気がしています。

文法の講義は、主に文法の知識を会話でどう活かすかということに焦点が当たっていて、演習形式で授業が進んできます。初回では形容詞の活用変化がテーマでした。会話で形容詞を用いる度に活用表を思い浮かべている自分にとっては、とても良い機会でした。また、既存の文法に関する知識がこの授業を通して塗り替えられていく感覚があり、とても面白いです。

日常生活とグラーツでの出来事

一週間に1〜2日の頻度で、よく寮の友人と街中に散歩に出かけます。日用品の入った鞄を持ちながら、旧市街を練り歩いたり、ルネサンス建築の旧市庁舎の前を通り過ぎたりするのは、不思議な気分です。何度歩いても飽きません。またグラーツにはシュロスベルグという名前の小高い山があります。シュロスベルグは寮から徒歩10分ほどの距離に位置していて、そこから街が一望できます。私にとってお気に入りの場所です。

シュロスベルグからの景色です。山頂ではよく楽器を演奏している人がいます

私は現在、寮でイタリア人のルームメイトと一緒に住んでいます。彼が引っ越してきた翌日、隣の部屋にもイタリア人の方が引っ越して来ました。後で分かったことですが、上の部屋にも下の部屋にもイタリア人の方がいました(笑)。私の寮の友人はヨーロッパ、特にイタリア人出身の方が多く、毎日陽気な雰囲気で過ごしています。彼らは特にピザとパスタに厳しいです。日本から持って来た、たらこスパゲッティを振る舞ったところ「魚卵の味がしてしょっぱい」と言われました。文化の違いをひしひしと感じます。

一番大変だったことは、コミュニケーションです。街に着いてすぐ、乾燥で喉が痛くなりました。うがい薬のようなものを探そうとドラッグストアに行き、店員さんに相談したところ、何と言っているか分からずとても苦労しました。いくら学科の授業を受けていても、生のドイツ語を聞くと聞き取れない部分がどうしてもあり、悩みました。最近ではドイツ語の授業や、普段から同じ店に通っていることもあり、ようやく意思疎通にも慣れて来ました。よく行くスーパーの店員さんとも仲良くなり、少しだけ自分のドイツ語能力の向上を感じている日々です。

        寮の友人達とピザパーティーをしたりもします

近況とまとめ

最近はグラーツでの生活にも慣れて来て、よく旅行に行きます。私はドイツ語の方言に関心があるので、リンツやウィーンに出向いて現地の人と会話をすると、発音の違いやその国特有の方言を知ることができ、とても面白いです。また、近隣諸国のスロベニアやクロアチアへ旅行に行くこともあります。隣国であるのに、言語や町並みが全く違うことを、とても興味深いと思っています。今後、グラーツでの留学を通して、オーストリアを始めとする、日本と異なる文化に多く触れたいです。まだ始まって2ヶ月弱の留学ですが、そのような経験を通して、自分のドイツ語能力を向上させ、知見を深めていけたら良いなと思っています。

      リンツの町並み

   みんなでスロベニア旅行へ行った時の写真