パリと映画

こんにちは。私は一般留学でParis III: Sorbonne Nouvelleという大学に通っています。一年間好きなところに住めるのならパリに行きたかったというのと、やりたい勉強(バスク関連と言語学)の両方があったのが唯一この大学だったので、一般留学を選びました。一般留学というのは交換留学と比べると手続きが複雑だったり、前例も少ないのでいささか面倒ではあります。加えてフランス語能力の資格も必要になるので、一般留学を考えている方は年に数回しかないフランス語能力試験など少し前から念頭に置いておいた方がいいかもしれません。

 なぜパリに留学したかったのかというと、一番の理由はこの都市が文化的中心地であるということです。個人的にはパリの映画館がたまりません。さすが映画の母の国、パリには100館以上もの映画館があり、新作を上映する大きなシネコンからアメリカの西部劇しか上映しない小さな映画館、アニメ専門の劇場、映画資料館のCinematheque françaiseなど、ユニークでオリジナルな映画館が揃っています。さらに面白いのは、映画関係者(監督、役者、映画評論家、専門家など)による講演会やディスカッションが上映後に頻繁に行われることです。映画のあとに手に汗握るような経験をするというのもなかなかありません。そうして暇な夜には「今日は映画でも観に行くか」とぼーっと外へ出たとしても、一流の映画マニアが選んだ映画を観れるわけですから、こんなに幸せなことはありません。こちらが選ばなくとも、あちらが選んでくれているわけです。

私は大学で言語学を専攻していますが、パリ第三大学のシネマの学科は結構名前が知られており、著名な映画評論家や映画作家を世に送っています。校内にあるCinémathèque universitaireでは毎日2回映画を上映しています。せっかくなので時間があればシネマ科の大講義の授業に出てみたり、他の大学の授業に潜り込んだり、ということをしています。この国では「映画」というものが学問として成り立っているのです。

 果たして誰の役に立つのか分からないことをごちゃごちゃ書いてしまいましたが、一年間外国に住んで勉強するというのはかなり恵まれたチャンスです。自分の興味の対象に合った土地や環境で、そのチャンスを最大限に活かして好きなことにとことん打ち込む一年を送るのも楽しいものです。

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映画資料館Cinémathèque française。展覧会や図書館もあり、2階の本屋では松本人志が好きだという日本映画に詳しいお兄さんが迎えてくれます。

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バスク語の授業で参加した元革命家LucioUrtubia氏の講演会。挨拶をすると「俺、誰かに似てるだろ?マーロン・ブランドだよ!」と叫ばれました。