学科の特徴

「実践的フランス語運用能力」を身につけるなら”上智フラ語”

1,2年次の1コマ100分、1週間で6コマの必修科目「基礎フランス語」では、ネイティヴ教員と日本人教員6人〜10人がチームを組み、「話す・聴く・書く・読む」の4技能を同時に伸ばしていくことのできる最先端の教授法を採用。こうして培った力をベースに、3,4年次に設けられた「総合フランス語」シリーズの「表現演習」「聴解演習」「総合演習」などの授業では、より実践的なトレーニングを積み重ねます。このようなインテンシヴな学習プロセスを通して、卒業時には「ヨーロッパ言語共通参照枠」基準でC1レベルに到達することを目標にカリキュラムを作っています。

AI時代の語学習得とは?

機械翻訳やAIが劇的な進化を遂げる昨今、それにもかかわらず人が一つの言語を習得することの意味は何でしょうか。もちろん複数の回答がありえますが、その一つは、言語はそれが使用される「コンテクスト(文脈、状況、背景)」への深い理解を通じて初めて、対話する相手との活きたコミュニケーションを実現しうるということでしょう。少し考えてみてほしいのですが、意識されることはほとんどなくても、これは母語同士でのやりとりでも同じですね。後天的に習得する言語においては、その異言語を使う人が身を置く文化的、社会的、政治的、歴史的、宗教的コンテクストをあらかじめ理解していることが不可欠になります。言語とそれを支えるコンテクストを瞬時に結びつけて理解し、また表現すること。これはAIには(今のところ)できないことなのです。フランス語学科では、1,2年次の必修科目として「フランス語圏基礎科目」シリーズを開講し、学科生はフランスはもちろん、フランス語が使用される世界の諸地域=「フランス語圏」の歴史や文化、政治や宗教、社会や経済に関わる基本的な知識を身につけていきます。

「入学後」に専門を選ぶ

今の日本の教育システムの中で育ち、受験を控えた段階で「大学で何を専門とするか」と訊かれて確固たる答えをもつ高校生がどれだけいるでしょう。ある程度の答えをもっていても、それはまだまだ茫漠としたものではないでしょうか。外国語学部の中には9つの研究コースが設けられています。いわば学部の中に複数の小さな学部が存在すると考えてください。6つのうちどれかの学科に入学して、その学科の「専攻語」(フランス語学科の場合はフランス語)の徹底した訓練をしながら、自分がどの研究コースでどういう専門を選んで研究をしたいのか、入学後にじっくり考えることができるのです。1年次には各研究コースの「導入科目」を履修し、その分野の基礎知識や方法論を学びます。2年次からはより発展的な内容をもつ「コア科目」を履修して自分の研究の方向性を具体化し、3年次からは各研究コースに分かれて個々の研究を開始します。つまり入学後2年間の熟考期間を経て政治学、経済学、社会学、歴史学、哲学、言語学、国際関係論、国際協力論などの諸分野の研究を始めることができるのです。そして4年次に、そうした積み上げの成果を「卒業論文・卒業研究」に結実させます。

9つの研究コース

外国語学部には9つの研究コースが設けられています。フランス語学科生が選択することの多いコースは、まずは「ヨーロッパ研究コース」でしょう。やはりフランスの歴史や文化、政治、社会、経済に関わる諸問題を研究したいという学生が一番多い印象です。次に多いのが「言語研究コース」を選ぶ学生です。「言語と社会の関係」や「日本語とフランス語の文法構造」や「外国語習得の方法」などさまざまな角度から「言語そのもの」を研究する学生も多いのです。続いて目立つのは「国際政治論研究コース」や「市民社会・国際協力論研究コース」を選ぶ学生でしょう。フランスやフランス語圏の国際関係論、紛争解決、あるいは途上国への援助や環境問題、貧困や格差、あるいは移民・難民問題に関心を持つ学生は、これらのコースを選択し、中にはこうした専門をさらに極めるために海外の大学院に進学したり、国際機関で働く目標を掲げる学生もいるのです。

ゼミ:知的訓練の場

実はフランス語学科は1991年から「演習科目」、いわゆるゼミを学科の必修としてきました。自身の問題関心を突き詰め、具体的な研究テーマを設定し、さまざまな文献を読み、フィールドワークを行い、それぞれの専門分野の研究手法や理論を身につけ、これらをすべて注ぎ込んだ卒業論文を書くには、ゼミの教員からの丁寧な指導が不可欠です。さらに、少人数で行われるゼミでは、学生間の議論や発表などでの濃密な知的コミュニケーションを通して、知的な成長をはかることもできます。こうした学びこそ大学でしか経験できないもので、フランス語学科では歴史的にこのゼミを重視してきたのです。

留学するならフランス語学科!

フランスの大学・高等教育機関との交換留学提携は1987年にはじまり、2024年現在フランスだけで30校を数え、ベルギー、ルクセンブルク、スイス、そしてカナダにも留学が可能です。下表は過去10年ほどの学科生の留学実績です。交換留学に加え、個人で行く留学(一般留学)と休学留学を加えると、コロナ禍にあった2020年、2021年を除き、学年定員70名のうち毎年40名から50名が1年間の留学を経験しています。本学ではもちろん、全国的にも他に類例がないフランス語学科の特徴です。

  2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023
交換留学 24 31 25 31 18 23 18   13 30 37
一般留学 17 12 14 14 14 13 18 1     3
休学留学 4 5 17 10 14 14 12 1   10 10
合計 45 48 56 55 46 50 48 2 13 40 50

これは、学科におけるきめ細かな留学指導の結果と言えるでしょう。毎年開催される学科独自の留学ガイダンスでは留学から帰国したばかりの先輩たちがパネリストになり、それぞれの経験をさまざまな角度から披露してくれます。留学担当教員を置き、「留学前ガイダンス」「単位換算ガイダンス」などを複数回開催するとともに、個別の面談でいつでも相談できる態勢を整えています。フランス語学科には入学当初から留学を意識したやりとりが同級生間、あるいは先輩や後輩との間で交わされる、そういう「文化」があるのです。

フランス語学科で受検できる語学試験:TCF

TCF (Test de Connaissance de Français)とは、欧州評議会が制定した「ヨーロッパ言語共通参照枠」(CEFR)に基づく世界共通のフランス語能力テストのこと。これを利用することで、学生は自身の現在の客観的なレベルを知り、それによって学習意欲を高めることができますし、フランスへの留学、大学院への進学、あるいはフランスでの就職に活用することができます。また学科教員も、カリキュラムの評価と改善に役立てています。本学科はTCFの実施校として認定されており、本学での受検が可能です。

学科を中心としたつながりを育む「フランス語倶楽部」

フランス語学科には、学科内サークル「フランス語倶楽部」があります。2008年の創設も学生が主導しました。その目的は「学科を中心としたつながりを作る」です。同学年間のつながりはもちろん、先輩・後輩、あるいは教員や学科OBOGとの交流の場をさまざまなかたちで作っています。4月の新入生歓迎の「お花見」、6月の「チーズパーティ」、12月の「クリスマス・パーティ」以外にも、「映画鑑賞会」「ガレット・デ・ロワ」「学年交流会」あるいは学科同窓会と協力した「就職懇談会」などを主催、共催しています。フランス語学科生が学年を問わず仲がよいのは、やはりこのフランス語倶楽部(通称フラクラ)の果たす役割が大きいでしょう。

公式Instagram:https://www.instagram.com/sophia_leclubdufrancais/

フランス語話者をゲストに招いての特別授業「Fenêtres sur cours」

フランス語学科の授業では、フランス語話者をゲストに招くことがあります。専門家の講演を通訳付きで聞くというよりは、教員を媒介役としながら、学習してきたフランス語を駆使して、ゲストの提供する具体的なトピックについて議論することを目指しており、毎年複数回開かれるこの特別授業は学生たちにとってさまざまな意味で刺激となっています。