サッカーW杯で盛り上がっています!③

ロシア語学科 3年
加藤 芳樹(サンクトペテルブルクに留学中)

 «Прокдятие Дьявола»(悪魔の呪い), «Как всегда»(いつも通り) 
 ベルギー戦の翌日に買ったスポーツ紙の一面にはこのように書かれていました。このように書かれているのは、1986年メキシコW杯、2002年日韓W杯、そして2014年ブラジルW杯とロシア(1986年はソ連)代表は三回ベルギーとW杯で激突し、全試合で敗戦しているためです。

 初戦の韓国戦では、GKアキンフェエフのミスで1点先制されるも、途中交代で入ったFWケルザコフのゴールで1-1の引き分け。しかしながら、直前の親善試合でも調子が上がらず、実力から言えば、格下の相手に先制されてから何とか引き分けというのは、ロシアとしてはとても良い結果であったとは言い難いものでした。現地の報道はアキンフェエフのミスを詳しく報道。これはCSKA、そしてロシア代表の不動のゴールキーパーであり、ソ連の偉大なゴールキーパー、レフ・ヤシン以来の天才と称されるアキンフェエフが、あんなミスを犯してしまったことに対するショックの表れという感じがしました。一方で、日韓大会にも唯一出場経験があるケルザコフのゴールは、次戦のベルギー戦にケルザコフの起用を求める声、そして同じく後半から入り流れを変えた、10番ザゴエフの前半からの起用を求める声がメディア、そしてファンから聞こえました。

 この試合、韓国は2010年の岡田ジャパンのように完全に引いて、1点を取るという苦肉の策に出ていました。それに対してロシアは守備的にいき過ぎてしまい、若干攻撃へのギアを入れるのが遅かったです。それでもベテランのゴールはチームを一気に生き返らせたという風に見えました。

 初戦で思わぬ引き分けを喫したロシアは、2試合目のベルギー戦に臨みました。メディア、そしてファンはスターティングメンバーにザゴエフ、そしてケルザコフを起用するだろうと連日報じ、また直前までそれは聞こえていました。しかし、蓋を開けると右サイドバックのエシェンコがコズロフに、そして左サイドハーフとして初戦出場したジルコフが、代表戦出場が2,3試合のカヌンニコフに変わっただけ。カペッロ監督は韓国戦同様に守り勝つ試合プランを組み、期待されていたような采配をしませんでした。

 結果から書くと0-1でロシアの惜敗。それも88分に恐れていたサイドを抜かれ、途中出場の選手に決められてしまうという、何とも残念な結果。試合内容としては、ロシアは守り、一発のカウンターを待つ。逆にベルギーはボールを支配し、サイドの脚の速い選手が突破してチャンスを作る、といった感じでした。

ロシアのDF陣はこの試合とても出来が良く、ベルギーの攻撃陣は攻めあぐねていました。ベルギーMFのフェライニにクロスを合わせようとするシーンが前半から見られたように、本来の攻撃の仕方ではなかなかチャンスが作れないため、パワープレーで仕掛けようという意図があったと思います。

 逆にロシアは前半終了間際でのココリンのヘディングシュート、後半のエシェンコのシュートなど少ないチャンスを生かし、ベルギーゴールに迫ってしました。

 しかし結果は上記の通り、0-1の敗戦。メディアはカペッロ監督の選手起用に対し、疑問を投げかけています。それはザゴエフ、そしてケルザコフの投入時間。後半60分あたりからボールを持たせ続けていたロシアが徐々にボールを支配する時間が増えていました。にも関わらず、カペッロは動かず、結局ザゴエフが投入されたのは83分。ロシアの10番もたった7分で仕事をするのは難しかったのではないでしょうか。また、ケルザコフにいたってはロスタイムでの投入。経験豊かなストライカーをなぜもっと早く起用しなかったのか?初戦でのゴールがあるため、この疑問は現地ではかなり大きなものになっています。

 初戦を引き分け、2戦目は惜敗。僕の勝敗予想はことごとく当たりません。3戦目のアルジェリア戦は、勝てば(韓国の試合結果に影響されますが)グループリーグ突破が決まります。逆に引き分けてもダメ。負けてもダメ。つまり、ロシアとしては崖っぷちまで追い込まれたわけです。カペッロ体制になり2年。厳格な指揮官の下、堅実なサッカー、堅実な代表生活をしてきた代表選手たちは、今こそその成果を見せるときではないかと思います。カペッロ監督、キャプテンを務めるベレヅスキーも「最後まであきらめない」「必ずグループを突破する」とコメント。負けはしましたが、メディアも諦めモードという報道ではないと思います。

 僕自身もロシアの勝利を信じています。ここで負けたら、衝動買いしたユニフォームも、折角の学科ブログの投稿も、12年間の応援も無駄になってしまう!!笑 とりあえず長くユニフォームを着て、このW杯企画に記事を載せたいです(笑)。  

スポーツバーでロシア人サポーターから記念撮影を求められました。(右から3人目が筆者)
スポーツバーでロシア人サポーターから記念撮影を求められました。(右から3人目が筆者)

 ロシアのサッカーつまんないじゃんとか思っているそこのあなたも、後生の頼みで一緒に応援しましょう!! ВПЕРЁД!!!!!!!!!!!!