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教員メッセージ・リレー第7弾!

市之瀬 敦

新入生および在学生の皆さんへ

 新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
 こう書き始めながらも、しばらくの間は、美しい四谷キャンパスで皆さんに直接会うことができないというのはやはり異常な状況です。いや、尋常ならざる事態に見舞われているからこそ、口頭ではなくこうして文章で祝福のメッセージを送っているのです。皆さんは、人類全体が「コロナウィルスの蔓延」に苦しめられた年にポルトガル語学科に入学した学生として人々から記憶され、自らも記憶していくことでしょう。
 けれども、人類の歴史を振り返ってみれば、それが厳しい感染症との戦いの繰り返しであったことにも気づかされます。エボラ出血熱、SARS、MERSなどの流行はつい最近の出来事ですし、結核は私が子供の頃はまだ大きな脅威でした。コロナウィルスの犠牲者が多く出たことで思い出された「スペイン風邪」というインフルエンザの流行は1918年から20年にかけての3年間。隣国ポルトガルでも数多くの犠牲者を残しました。1910年に王国から共和国になったばかりのポルトガル社会は、さらに混乱の度合いを増しました。この辺りの歴史は授業開始後に学びましょう。
 だからと言って、今回も「もう一つの感染症」に過ぎない、とか、犠牲者が多少出てもしかたない、などと言うつもりは毛頭ありません。ただ、大学で学ぶことの意義の一つに、物事を俯瞰して眺める力を身につけることがあるだろう、と言いたいのです。今、私たちを苦しめているのは新しいウィルスですが、新しいウィルスとの戦いは人類にとり古くからあるチャレンジなのです。そして、それがわかれば、歴史に学ぼうという意欲も、もう一度戦おうという勇気も湧いてこないでしょうか?
 自己紹介を忘れるところでした。もちろんウィルス学者ではありません(笑)。ポルトガル語、そしてポルトガル語とアフリカ諸語が接触して形成されたクレオール語を研究する言語学者であり、同時にポルトガル語圏の近現代史を研究対象としています。もしかしたら、ポルトガルサッカーについて雑誌やウェブにしばしば記事を執筆するコラムニストとしてご存知の方もいるかもしれませんね。最新の研究成果としては、皆さんに「文法」の授業で手に取っていただく『必携ポルトガル語文法総まとめ』(白水社)があります。次作が何になるかは乞うご期待です!

 在校生の皆さんへ
 4月からまた友人たちと四谷での大学生活を再開できることを楽しみに待っていたのではないでしょうか?コロナウィルス禍によって、その予定も大きく狂ってしまい、困惑されていることでしょう。ですが、平和な日常はまた戻ってくると信じ、今いる場所でできることをしながら待つこととしましょう。Fica em casa e lê livros!

南部アルガルベ地方の漁村タメガの港

リスボンの「アルジューベ抵抗と自由博物館」入口