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教員メッセージ・リレー第6弾!

子安 昭子

新入生の皆さんへ

初めまして。ポルトガル語学科教員の子安昭子です。
私は1年生のポルトガル語の文法を受け持っています。文法の授業は週2回。春学期はオンライン授業という形ではありますが、皆さんとお会いできること、本当に楽しみです。

私も皆さんと同じ学科の卒業生です。今から35年前(自分で書いてびっくりですが、そんなに時間が経ってしまったとは…)上智大学に入学しました。高校時代ブラジルで生活したことから、ポルトガル語と出会い、そして上智のポルトガル語学科で学ぶことになりました。

当時と今とあまり変らないのは1年生と2年生はとにかくポルトガル語の授業が多いことです。週5日間(我々の頃は土曜日もあったので大学には週6で通ってましたが)、大げさではなく朝から晩までポルトガル語を勉強しました。正確にいえば、語学と地域研究系の授業ですが。午前中に語学の授業が多かったのも今と変わらないかな。1限、やっぱり苦しかったです。先生方も遅刻には厳しかった。それは今も同じですよ。初めて学ぶ外国語を身に着けるためにはこうして集中的に勉強することが大事だと思います。皆さんもそれはちょっと覚悟して下さい。

私は言語としてのポルトガル語の勉強も好きでしたが、それ以上にブラジルの歴史や政治経済の授業がとても好きでした。3年生の時に受講したブラジル政治論の授業で書いたレポートは米国とブラジルの関係でした。ブラジル外交に関する英語の本で、両国の関係は「アンビバレントである」と書かれていたこと、アンビバレントって何だろう、調べてみるとあいまい、とか両義的といった意味でした。米国とブラジルの関係は友好的なところもあれば、敵対的なところもある、そういう意味で両面性があるという意味なのですが、アメリカ大陸の2つの大国同士の関係、その中で緊張が高まったり、ある時はべったりの関係(蜜月、ハニームーンとも表現しますが)になったり、と、それがとても面白く、現在私がブラジルを中心にラテンアメリカの国際関係を研究しているのはそこから始まったのだと思います。

世界の動きはどうしても米国を中心に見てしまいがちですが、角度を変えて、たとえばブラジルは国際政治の中でどんな動きをしているのだろうか。中国が世界の中で台頭していますが、その中国とブラジルはどんな関係にあるのか、など、とくにこうしたコロナ新型肺炎の感染が世界規模で広がる時代の中で、将来を見据えていろいろ思いを巡らせることができるのではないでしょうか? 私は一つの国、地域について学ぶとともに、そうした国や地域がおかれた環境を知ることが、翻ってその国、地域を学ぶことになるのだと思います。ぜひ皆さんもブラジル、広くはポルトガル語圏を内側から見ることに加え、世界に視野を広げることも忘れないでほしいと思います。

授業開始まで健康に気を付けて過ごしてください。
ポルトガル語学科で何が学べるのか、それはロヨラで公開されるシラバスなどである程度の答えが出ると思います。でももう一つ、皆さんに考えていただきたいのは、自分はポルトガル語学科で、外国語学部で、そして上智大学で何を学ぼうとしているのか。このことを考える時間、それが今だと思います。

皆さんにお会いして、お話できることを心より楽しみにしています。

夜のブラジリア、国会議事堂(上院と下院)(2019年)