国境に隣する街トリ―ア

髙田真那

Frohes neues Jahr! あけましておめでとうございます!現在トリーア大学に留学中のドイツ語学科2年髙田真那です。早いもので在外履修もあと2ヶ月足らずとなりました。渡航前は言語面や生活面に不安しかなかったはずが、いつのまにかドイツでの生活を満喫している自分に驚いています。

私が滞在しているトリーアはドイツ西部に位置し、ローマ時代の遺跡が残るドイツ最古の都市とも言われています。中心部にはポルタニグラ(古代ローマ時代の建造物)やコロッセオ(円形闘技場)が当時とほとんど変わらない状態で残されています。旧市街のような景観を残すHauptmarkt(中央広場)には様々な店が立ち並び、冬にはクリスマスマーケットも開催されます。またフランスやルクセンブルクとの国境に近く、ルクセンブルクへは学生証があれば無料で行くことができます。

【大学での生活について】

到着して数週間は住民登録など政府関係の手続きに追われていましたが、留学生向けオリエンテーションにて担当の方やチューターの学生が丁寧に説明してくださるのでスムーズに終えることができました。在外履修先に迷っている方は、現地大学側のサポート体制も判断のポイントにしてみると良いと思います。

また、学生主体のイベントや交流の場も多く、そこで知り合った他国からの留学生の友人も増えました。他の国からの留学生と交流できるのも在外履修ならではです。

他国からの留学生と一緒にハロウィンパーティーを楽しみました。

普段はしないハロウィンメイクで女子一同大盛り上がり。

授業について、現在は週5コマのドイツ語コース(文法、会話、ライティング、リスニング)を受講しています。周りの留学生と比べて自分のできなさに挫けそうになることもありますが、これも日本では経験できなかった成長の機会だと感じています。

大学ではドイツ語コースの他にもドイツ語で開講されている日本学科の授業を受けたり、週に何回かタンデムを行ったりしています。それに加えて私は英語の授業も取っており、他の留学生やドイツ人学生との交流の場になっています。また、日本学科のStammtisch (定期的な集まり)やプライベートで遊びに行くなどドイツ人の友人とも交流を深めています。

12月にはドイツ人の友人とクリスマスマーケットを一緒に回りました。

町のシンボルであるポルタニグラもライトアップされます。

また、それ以外のコミュニティとしてトリーア大学のオーケストラでも活動しています。私は上智大学で管弦楽団に所属しているのですが、在外履修中に現地でも音楽に触れたいと思い、こちらのオーケストラにも参加することにしました。現在は週に一回、学期末のコンサートに向け練習に励んでいます。オーケストラのメンバーは学生だけでなく、大学講師の方など幅広い年齢層の方で構成されています。私のドイツ語はまだまだ拙いですが、優しく接してくださる方ばかりです。言語の壁はありつつも、音楽という共通言語を介してたくさんの人と関われていることを幸せに思います。

オーケストラの練習の様子

【旅行とトラブルの話】

ご存知の通り、ドイツはヨーロッパの中心部に位置し、他のヨーロッパの国への旅行がとてもしやすいです。実際に私も今までにフランス、ルクセンブルク、チェコ、イギリスを訪れました。各地のクリスマスマーケットを回ったり、様々な国を巡ったりなど、ドイツにいるからこそ、旅行を気軽に楽しめるのは在外履修の醍醐味の一つだと思います。

どうしても行きたかったプラハ。安く済ませるために飛行機を使わず、計14時間、電車で移動しました。

しかし、旅行につきものなのが、交通機関のトラブル。DB(ドイツ鉄道)は日本に比べ、電車の遅延やキャンセル、急な行き先変更等が頻繁に起こります。また、ストライキも多々…今回はその中でも1番大変だったトラブルについてお話しします。

その週は木曜日22時から金曜日22時にかけてのストライキが予定されており、週末に友人の家を訪れるために予定より1日早く、木曜夜のストライキ直前の最終電車に乗るつもりでした。ところが間違った電車に乗ってしまい、ルクセンブルクに着いたところでストライキが始まってしまったため、どうにも帰ることができなくなりました。急遽FlixBus(格安長距離バス)のチケットを買ったものの、乗車にはパスポートの原本が必要でした。私はこの時、国外に行くつもりはもちろんなく、隣町まで少し足を伸ばすだけの予定だったため、パスポートのコピーしか持っていませんでした。そのため最後の手段だったバスにも乗れず、その上、周辺のホテルは全て満室、駅も封鎖され仕方なく駅前のバス停で始発の市バスを待つことになりました。

待機していたバス停からの景色。深夜には駅や電光掲示板のライトはすべて消えていました。

スマホの充電も底をつき、一時はどうなることかと思いましたが、近くにいた人にバス停の場所と時間を教えてもらい、何とか帰ってくることができました。今回は私の不注意と不運が重なってしまったために大変なことになりましたが、これもドイツ(ルクセンブルクで?) でしかできない経験だったと思います。ここで、おや、と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、トリ―アとルクセンブルクは非常に近く、電車で40分ほどです。その上、学生証があればルクセンブルクまでを含む周辺地域の電車を無料で利用でき、国境のパスポートチェックもないため、ちょっとそこまで行くつもりの移動が、間違って国境を超えてしまうという事態が起こりうるのです。電車移動は、慣れることができれば便利な旅行の手段となりますが、油断していると大変なことになります。ドイツに来る際は電車の乗り間違えやトラブルにくれぐれもお気をつけください…!

在外履修を通して、語学力の向上だけでなく、困った際に自分の力で解決する力も高まったと感じています。知らない土地での生活は苦労も多いですが、その分、新鮮で成長の機会にも繋がります。残りの留学生活も悔いのないよう、様々なことにチャレンジしたいです!