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ドイツ語学科2年の小久保里奈です。私は、去年の9月からドイツのフライブルク大学に留学しています。フライブルクは世界で「環境都市」として有名ですが、日本では聞いたことがない人が多いのではないでしょうか。ドイツでは「ドイツ人が住みたい街フライブルク」として取り上げられるくらい、有名で素敵な街なのです。今回は、フライブルクの魅力についてたっぷり紹介したいと思います。
フライブルクはドイツの南部に位置し、他の都市と比べて日照時間が長く暖かいため、とても過ごしやすい街です。空気も澄んでいて心地いいので、私は時間ができると、よく散歩に出かけます。お気に入りは、“キリスト教世界で最も美しい塔を持つ大聖堂”と言われている、フライブルク大聖堂です。フライブルクの街を見守ってくれているかのようなこの大聖堂は、見ているだけでパワーをもらえます。中にある色彩豊かなステンドグラスは万華鏡のようで、また、礼拝の時に聞くことができるパイプオルガンの音色は実に荘厳で、静かに私の視覚と聴覚に語りかけ、心を浄化してくれる気がするのです。
私が在外履修先にフライブルク大学を選んだ理由の一つに、充実していると言われるフライブルクの環境政策を見てみたい、ということがありました。実際に住んでみると、環境政策はフライブルクの生活と密接に関係していることがわかりました。個人の家や大学の図書館など、街の至る所にソーラーパネルがついています。また、Vaubanという環境モデル都市があり、建物全体を高断熱・高気密にすることや、コージェネレーション発電(燃料電池で発電を行って、その際に出る熱を活用する方法)の導入など、省エネ対策がなされています。特徴的なのは、市内をトラム(路面電車)が走っていて、車の乗り入れが厳しく制限されていることです。車で来た人が市内に行くには、車をトラムの終点にある「P&R」(パークアンドライド)マークのある駐車場に停め(無料)、トラムに乗ります。Regiokarteというフライブルク市内の電車、バス、トラムが乗り放題の定期券があり、公共交通機関を使った方がお得になるような価格設定になっています。
ドイツといえば、サッカーです。フライブルクにも、SC フライブルクというサッカーチームがあります。ブンデスリーグに属しており、試合があるときは町中がSCフライブルクのカラーである、赤と白のユニフォームを着た人でいっぱいになるくらいすごい人気です。ドルトムント戦のチケットが手に入ったので、Schwarzwald StadionというSCフライブルクのホームスタジアムに観戦に行きました。(ミーハーな私は、日本で有名なドルトムントの香川選手のユニフォームを着ていました笑。結果は引き分け。ドイツの熱狂的サッカーファンと一緒に肩を組んで応援したことも、また、出待ちで香川選手を間近で見ることができたことも、すごくいい思い出になりました。
大学では留学生向けの授業を受けています。9月にあった語学講座は、全てドイツ語で行われました。私のクラスには、アメリカ、カナダ、スペイン、フランス、イタリア、フィンランド、韓国、アフリカ、ヨルダンといった、様々な国の留学生がいました。日本人は私だけ。みんなに通じるのはドイツ語と英語です。不安でいっぱいでした。でも、休み時間にクラスメートとコーヒーを買いに行ったり、お互いの国の食べ物やコスメについてワイワイおしゃべりしたりすることで、だんだんドイツ語を話すことが楽しくなっていきました。
10月からは、語学講座の他に、フライブルクの歴史と地域の特徴を学ぶ授業と、ドイツの文化について学ぶ授業がありました。課題が多いと噂のフライブルクでしたが、全くその通り。全部でプレゼンテーションが3つ、ドイツ語のレポートが1つ、テストが4回もありました。特にプレゼンテーションはドイツ語で10分ほど話すため、パワーポイントや原稿の準備がすごく大変でした。しかし、プレゼンのために資料を読み込んだり、原稿を書いたり、発音に気をつけながら読んだりしたことで、ドイツ語にたくさん触れることができました。また、頑張って発表したプレゼンテーションを先生や友達が褒めてくれたことは嬉しかったですし、自分のドイツ語が伝わるんだ!という自信にも繋がりました。
フライブルクは、スイスのバーゼルとフランスのストラスブールまで電車で1時間という、非常に便利な場所にあります。Semester Ticketというフライブルクを含めた一定の地域の交通機関が半年間乗り放題になるチケットを買うことで、空港があるバーゼルまでは無料、「クリスマスの首都」と呼ばれるストラスブールまでは往復3.4ユーロ(約450円)で行くことができます。バーゼル空港からロンドンまでは飛行機を使って1時間半ほどで行くことができます。速く、安く、色々な国に行くことができるところもフライブルクの魅力の一つです。
留学中は、異文化を楽しむために、できるだけたくさん予定を入れるようにしていました。授業がない時は、大学で知り合った日本が好きなドイツ人に日本語や日本の文化を教えて、お返しにドイツ語を教えてもらっています。寮では、韓国、台湾の友達とお互いの国の有名な料理を教え合ったりして、プチ料理教室みたいになっています。日本食として、お好み焼き、トンカツ、生姜焼きをリクエストされたのは意外でした。日本を代表する料理が、すき焼き、寿司だと思っているのは日本人だけかもしれません。
「語学は、間違いを恐れて話さないよりも、文法が多少違っていてもどんどん話した方が伸びるよ」とドイツ人の友達に教えてもらいました。それからは躊躇せず、とにかく沢山話すことを意識しています。ドイツと日本の懸け橋になろうと入った独日協会フライブルク支部で、フライブルクで活躍している日本人の方と一緒に、日本の文化をドイツ人に教えたり、フライブルクに研修旅行で来た日本の高校生に、フライブルクの街や大学を案内したり、授業以外の活動にも積極的に参加しています。
早いもので、日本に帰るまで1ヶ月を切りました。フライブルクは地球に優しく、またフライブルクで出会った人々はみんな親切で優しく、ドイツ人が住みたい街なのがわかる気がしました。フライブルクを離れるのが名残惜しいです。今回の留学で様々な国の留学生と交流し、多くの文化、生活、価値観を教えてもらったことで、私の視野はかなり広がりました。異文化を理解するには、違いを楽しみ、相手を敬う姿勢が大切だと感じました。違いから学ぶことは多く、お互い高めあい、助け合えるのです。今まで遠く感じていた国も、身近な国に思えてきました。留学生活を充実させるか否かは自分次第。私は、フライブルク大学に留学して本当に良かったです!