国際都市ジュネーブでの留学生活

木ノ下ねね

こんにちは!私はスイスのUniversité de Genève (ジュネーブ大学)に一年間交換留学していました。フランス語学科の交換留学というとフランスの大学を思い浮かべがちですが、ジュネーブも留学先としてとても良い場所です。私のブログを通してジュネーブという選択肢について知ってくださると嬉しいです。

ジュネーブ大学を選んだ理由
・スイスという国の特殊性に惹かれた
・国連やEUに興味があった
・治安が良い
・自然に囲まれた留学生活を送りたい
(・チーズとチョコレート)
以上のような理由からジュネーブ大学を選びました。

夜のjet d’eauは幻想的で美しいです。

スイス、ジュネーブについて

スイスには人口の多い順にドイツ語圏、フランス語圏、イタリア語圏、ロマンシュ語圏があり、私のいたジュネーブはフランス語圏にありました。4つもの言語圏を抱えるスイスは全26の州(canton)からなる連邦制を採用しています。また、スイスの政治は国民発議と国民投票のシステムがある直接民主制の性格を強く持ちます。実際に友人間で政策や投票の話題がよくあがる、政治が専門分野ではない友達でもスイスの政治についてよく理解しているなど国民の政治参加が非常に活発である印象を受けました。

スイスはEU加盟国ではありません。西ヨーロッパの中心に位置するスイスにとってEUに加盟しないことは不利に見えます。何故なのかと不思議に思っていました。実際、政治的・経済的に理由に加え、加盟を望まないスイス国民が多いのです。それを友達との話や授業から体感することができたのも面白かったです。このトピックに興味がある方はこの記事を是非読んでみてください(Pourquoi la Suisse ne veut pas adhérer à l’UE – SWI swissinfo.ch)。

例えばある日、買い物の帰りにバス停でバスを待っていたところ、ジュネーブ人のおばあさんに話しかけられて少し会話していました。彼女は普段スイス系二大大手のスーパーであるMigrosとCoop(どちらも国産の商品を中心に販売するスイス伝統のスーパーです)でしか食品を買わないと教えてくれました。一方の私は直前にドイツ系スーパーであるLidlで買い物をしたことが気まずく感じられ言い出せませんでした。理由は直接尋ねませんでしたが、彼女の自国の産業保護への意識の高さ、強い愛国心が感じられました。

そしてもう一つ特筆すべきなのは多くの国際機関が本部や事務所をジュネーブに置いているということです。例えば国連ヨーロッパ本部のPalais des Nationsや国際赤十字本部は代表的ですね。COVIDの影響でPalais des Nationsは残念ながら個人ツアーを中止していたのですが、友人のツテや、大学の授業のInternational Geneva(下記参照)のお陰で滞在中に2回も訪問することが出来ました。また、ジュネーブでは国際機関で働いていたりインターンをしている人と知り合うことも多く、自分の将来のキャリア形成について考える良い機会にもなりました。

 

Palais des Nationsの「La Salle des droits de l’homme et de l’alliance des civilisations」(人権理事会大会議場) にて。

ジュネーブでの学生生活

ジュネーブ大学ではFaculté des sciences de la société(社会科学学部)とGlobal Studies Institute(二学部まで横断履修可能です)、付属の言語学校で授業を履修していました。特に面白いと感じたのは秋学期に履修していた International Geneva(英語開講)とPolitique suisse(スイス政治)(フランス語開講)でした。International Genevaは毎回WHOやUNHCRなど国際機関からスピーカーを招いて、その人自身の経験も絡めながら国際機関の役割やその分野における国際的な課題について考える授業です。多くの国際機関がオフィスや本部を構えるジュネーブならではだと思いました。

印象に残っているのは2月にロシアのウクライナ侵攻が始まって以来、スピーカーの方からの講義、また学生からの質問にこの戦争に関するものが増えたことです。各機関のウクライナ難民に対する取り組みなどを学ぶことが出来ましたが、同時に新たな戦争の発生を防ぐのに現行の国際社会や国連のシステムは不十分であることを改めて考えさせられました。Politique suisseではスイスの政治システムについて学びました。内政のみならず外交のシステム(特に対EU)やスイスの中立性について、スイス人の教授と学生に交じって学ぶことが出来て、留学したからこその貴重な経験となりました。

ジュネーブでの留学の魅力はリラックスした生活が送れるということも一つだと思います。理由は以下の三点です。
まず、ヨーロッパ他地域と比較し治安がとても良いという点です。ある程度の注意を払えば常に気を張り巡らす必要はないという印象を受けました。
次に、国際的な都市であることです。スイスのみならず様々なバックグラウンドを持つ学生や人々が多く、常に多文化に触れて過ごしていました。大学にもエラスムスを利用してスペインやドイツから来たヨーロッパの学生からラテンアメリカ、アジアから来た留学生が沢山いて、本当に多国籍でした。したがって自分が「外国人」学生であることへの負担を感じることも少なかったです。
また、豊かな自然も理由の一つです。勉強で疲れた時にはレマン湖周辺を散歩したり、ボートに乗って湖の景色を眺めたりするのがルーティンでした。スイスの他の地域に遊びに行ったときもハイキングや山登りなど自然が身近にある生活を存分に楽しむことが出来ました。

 

本場のチーズフォンデュは格別でした。

終わりに

留学生活は本当にあっという間でしたが、実りの多い10か月間となりました。留学を通して視野が広がったことで、自分のやりたいことが少しずつ明確になってきたと感じます。
COVIDの影響で無理だと思っていた留学が6月に突然行けることになったということもあり、準備不足で後悔したことも多々ありました。しかし最終的に留学できるよう措置を設け、サポートしてくださった上智大学とジュネーブ大学、そして支えてくれた人たちには心から御礼申し上げたいです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。