フィンランドへの異色の留学

佐々木 美玖

 私にとって「留学をする」という選択は「私にとっての大学生活とは何か」ということを考えることと同義だったと、留学を終えて帰国した今思います。
 フィンランドという、フランス語学科生の中では例外的な国を選んだ私の留学生活をこの場で紹介するのは不思議な感じですが、留学を考えてこのブログを読んでいる方のひとつの参考になればと思って書かせて頂きます。

  私は、フィンランド ヘルシンキにあるAalto University School of Businessという大学に交換留学をしていました。
 まずフィンランドという国を簡単に紹介すると、公用語はフィンランド語とスエーデン語、北欧(北ヨーロッパ)5カ国の中で一番西に位置し、ロシアの東側、日本に一番近いヨーロッパともいわれる国です。
 また、公用語は先述の2カ国ですが、都市では若者からおじいさんおばあさんまで大半の人が英語を使い慣れており、共通言語は英語、といったところでしょうか。
 私はこの国で、主に英語を使いビジネス、特にマーケティングを重点的に学んできました。ここでは、[この留学先を選択した理由]、[向こうでの生活・授業]、[フランスでの1ヶ月間の滞在体験]について説明しながら、私なりの留学生活を紹介します。

  まず、留学先としてこの環境を選んだのには、ビジネス、マーケティングを国際的な視点をもった学生と共に本格的に学んでみたいという気持ちが一番にありました。
 もともと大学入学当初から「コミュニケーション」という事柄に興味があり、様々な国で沢山の人が世界で使っているフランス語を身につけることと、ビジネスにおけるコミュニケーションツールであるマーケティングを学ぶことは、私にとって同じように魅力的でした。
 結果的にフランス語学科に入ったのには他にもいろいろ理由があったからなのですが、留学するにあたって私が重要視したのは、「英語留学でもフランス語留学でもきっと贅沢に留学できるのは人生一度きり、それなら語学力の向上はもちろん、何か自分の強みになる能力を身につけて帰ってきたい」ということでした。このような理由から、実践的なマーケティングを学べる留学先を選ぶことと、より幅広く学べる英語を留学言語にすることを決めて、更にAalto大学の授業スタイルやグループワークが多い点、留学中の休暇に行くと決めていたフランスと同じヨーロッパに位置するという点などを踏まえて留学先を決定しました。

 向こうの授業は、教授のパワーポイントを使った講義からグループワークでの実践的な課題への取り組み、というのが主な流れです。学生たちは自分の学んでいることに責任を持って取り組んでおり、フィンランドの国風から社会人でありながら学生として学ぶ人もいて、グループワークはとても刺激的な学習の場でした。また、マーケティングの授業以外には、ビジネスフランス語などの授業も取っていました。ここでは同じ留学生よりも現地のフィンランド人と一緒のことが多かったのですが、フィンランドでは高校生から第二外国語を学び、大学生になると第三、人によっては第四外国語までも勉強している学生が少なからずいて、フィンランドの全体的な語学力の高さには本当に驚かされました。
 学校以外にもCafe Linguaという、語学を学ぶ人たちがバーに集まって様々な言語を練習しながら交流する約週1回行われるイベントに参加したり、大学が行うフィンランド人と外国人学生のFriendshipプログラムでペアの家族と仲良くなったり、パーティーを開いたりと、学校以外でも沢山の友だちができて本当に楽しく過ごしました。ヘルシンキで出来た友人たちは、もうひとつ私に帰るところを与えてくれる一生ものの財産です。

 佐々木

 こんな感じでフィンランドでは学生生活を送っていたのですが、休暇中にはフランスにも1ヶ月滞在する機会もつくりました。やはりフランス語学科生としてフランス語を実際に使って生活してみたいという気持ちがあったのも事実だったからです。
 フランスでは地方でオーガニック農家のボランティアとしてホームステイさせてもらったり、パリのマダムのアパルトマンに泊まらせてもらったりと、非常に短い期間でしたがこれから先もずっとフランス語も学んでいく上でなくてはならない経験になりました。

  私はこの留学を通して、私は大学在学中になにをしたいのか、卒業するときにどうなっていたいのかをもう一度考え、見直すことができました。それを考えてどうすれば一番なのか考えた結果が、私の場合はフィンランドに留学したり、フランスで1ヶ月過ごそうと思ったりしたことだったのだと思います。
 こうなりたい、学びたい、という気持ちがあれば手段は幾らでも見つけられるはずです。留学することも、そこで何をするかも、一人ひとり違う大学生活の一部。自分なりに考えて決めれば、得るものはとても大きいと思います。