ベルギー留学中の私の挑戦

鷹觜美佳

皆さんは「留学」にどんなイメージを抱き、何のために「留学」をしようと考えていますか。楽しそう?語学力向上?異文化理解?  人によって様々だと思いますが、その考えは留学前後でまた変わってくると思います。

私は語学力向上、興味のあった芸術関連の授業を受けることが留学の目的でした。結果から言うと、フランス語力は目標まで達することができず、正直悔いが残っています。芸術の勉強は上智では学べないような授業をとることができ、難しいながらも現地の友人たちに助けられ、無事に単位を取得することができました。

実際に留学をして、新たに感じたこと。それは、留学を通して今まで気付かなかった自分の力を発見することができたということです。

私は留学先で大きな挑戦をしてきました。同じ街に留学をしていた日本人留学生4人と協力し、日本文化を紹介するイベントを現地で企画・開催しました。

きっかけは、ベルギーで震災遺児支援活動を行っている非営利団体さんから、「震災遺児たちをベルギーに招くホームステイプログラムをしたいが、資金が足りない」というお話をいただいたことでした。震災遺児支援金を集めるため、また「寿司」や「マンガ」だけではない、様々な日本文化を伝えたいという思いから、イベントの準備を進めていきました。自分たちでイベント内容を考え、企画書をつくり、手当たり次第日本企業などに協力依頼メールを送り、日本語教師や日本食レストランのシェフを訪ね、運営スタッフを集め… 初めてのビジネス経験を、学生のうちに、しかも海外でできたことはとても大きかったと思います。公用語が一つではないベルギーだからこその苦労もあり、また授業との両立もあり、本当に大変で体調を崩した時期もありましたが、多くの人々に支えられ、なんとかイベント当日を迎えることができました。

エントランス

「Japan Actually」と名付けたこのイベントでは、カレーや豚汁、日本酒などをふるまい、折り紙や浴衣体験、日本語の授業や太鼓のパフォーマンスなどを行いました。たった一日の開催でしたが、約760名の方が訪れ、支援金約80万円を集めることができました。来場者だけではなく、約70名の運営スタッフたちからも笑顔があふれ、「私たちも楽しむことができたし、いい経験になった。素敵な機会をありがとう!」とたくさんの感謝の声をいただき、大変だったけれどやってよかったと心から思うことができました。

カレー、豚汁の提供

イベントを開催するにあたり、日本人留学生やベルギー人学生はもちろん、多くの社会人の方々にお世話になり、ご尽力いただいた皆様に心から感謝しております。「一人では何もできない。自分は多くの人に支えられているのだ」ということを実感する日々でした。

話を戻すと、留学前は自分がまさかこんなことをやるとは思ってもいなかったし、やり遂げる力があるとも思っていませんでした。「留学」をどんな「留学」にするかは自分次第です。(ここまで大規模な事に挑戦することは正直お勧めできません。勉強にも支障が出るし、何よりすごく大変でした。笑)

ここで皆さんにお伝えしたかったのは、「留学」を実りあるものにできるかどうかは自分次第だということ。勉強に打ち込むのもいい、たくさん旅行するのもいい、友達とはしゃぎまわるのもいい。この私の体験談は「留学」ではやろうと思えばこんなこともできるんだという一例です。あとは、皆さん次第です。

 震災遺児たちへのメッセージボード

イベントPR動画(英語版)

https://www.youtube.com/watch?v=8rLoCqVUVbI&index=1&list=PLBdm2zOvWTCYcfTVBqBIhrZFIstfHb8Tp

イベント後、運営スタッフたちと