バイリンガル都市モントリオールでフランス語を学ぶ

齊藤 美帆

私は2021年10月から約2ヶ月間カナダのモントリオールに短期留学していました。

コロナ禍での留学、モントリオール生活について少しでもイメージしていただければ幸いです。

モントリオールについて

ケベック州の最大都市モントリオールは、フランスのパリの次に大きなフランス語圏の街と言われています。

ケベック州は、フランス語をとても大切にしていると感じました。英語が主体の一部の地域を除き街の標識などは全てフランス語でした。実際に、お店の名前やメニューにフランス語がない場合、クレームがくるという話も聞くほどでした。しかし、街中では多くの人が仏英バイリンガルなため、英語も通じます。私は、はじめはフランス語で話し、理解できない言葉が出てきたら英語で話していました。これができるのはモントリオールの強みであり、フランス語に挑戦しやすい環境だと感じます。街中を歩いていても、フランス語と英語が交互に聞こえてきて面白かったです。

同じフランス語のクラスには、ケベック州モントリオールの英語圏を中心とした自治体(ウエストアイランド)出身で、60代になり退職して語学学校に通っている女性もいました。その方は、今までの生活では英語のみで支障はなかったけれど、これからは地域との関わりを増やしたいと思い、フランス語を本格的に勉強し始めたそうです。

モントリオール・ノートルダム聖堂に入った瞬間、鳥肌が立ったのが今でも忘れられません。

モントリオール生活

カナダの冬はとても寒いと聞いていたため、10月半ば現地に着いて一番に買ったのは、「マイナス20度対応」のジャケットでした。しかし、室内は比較的暖かいため、12月になっても厚手のジャケットの下には薄手のニットでも大丈夫でした。

治安も比較的良く、滞在中に不安な思いはしませんでした。以前パリに行った際には、スリが怖く常に神経を張っていましたが、モントリオールでは安心して道端でスマホを出し、Googleマップを使い、道を調べることもできました。(けれど備え有れば憂いなし。常に用心することは大切です。)

また、アジア人差別を感じる場面もありませんでした。多民族国家で移民が多いことから、異文化に対しても寛容な人が多い印象を受けました。場所が分からず迷っていた際にも助けてもらい、フレンドリーで優しい人が多いと思いました。

しかし生活する上で、物価が高いと感じました。手紙を出そうとポストカードを買いに行ったのですが、シンプルなものでも5カナダドル前後(日本円で約450円)という価格に驚きました。

ウォールアートが至る所にあり、街を歩くのが楽しかったです。

コロナ禍での状況

屋内ではマスクをつけることが必須でしたが、屋外ではしなくてもよかったです。そのため、お店から出た瞬間にマスクをとっている人が多くいました。アルコール消毒は日本よりも徹底しており、お店に入って消毒をしない場合、注意されます。レストランやカフェに入る場合、ワクチンパスポートと身分証明書の提示が必須でした。私は、日本で入手した英語・日本語版のワクチンパスポートとパスポートのコピーを常に持ち歩いていました。

語学学校もコロナの影響を受けており、授業は月・水・金の午後のみが対面で、毎日午前中と火・木の午後は全てオンラインでした。語学学校を予約する際には全て対面だと思っていたので初めはショックを受けましたが、オンラインであってもきちんとした学ぶ環境が整っていました。

日本に帰国する際には、PCR検査を日本語対応の書類が発行できる病院にて72時間以内に受ける必要がありました。

(※これはあくまでも私が滞在していた2021年10月から12月までの状況です。)

素敵なカフェもたくさんあります。

語学学校について

私はECという語学学校のバイリンガルコースで、英語とフランス語の授業を取っていました。特に勉強になったのは午前中のフランス語会話のクラスです。生徒は3、4人と少人数でディスカッションや会話をした上で、先生が文法を直してくれたり、他の表現方法を教えてくれたりします。自分の語彙が増えるだけでなく、フランス語で会話する上で、自身が間違えやすい文法や表現を学ぶことができて良かったです。クラスメイトはコロンビア人やスイス人が多く、日本人でフランス語の授業を取っている人はあまりいませんでした。ECには英語を学びにきている人も多く、パリ郊外から英語を身につけるため留学しているフランス人とも友人になることができました。彼らとは英語とフランス語を混ぜて会話し、私のフランス語を直してもらったり、単語を教えてもらったりと有意義な時間を過ごすことができました。ケベック州のフランス語(Québécois) は、フランスの仏語とは単語やイントネーションが異なるのですが、語学学校ではフランスの仏語を学びました。例えば、朝食・昼食・夕食はフランスでは順に、Petit déjeuner, Déjeuner, Dînerですが、ケベックでは Déjeuner, Dîner, Souperと言います。また、フランスではDe rien(どういたしまして)ですが、モントリオールではBienvenueと言われ少し戸惑いました。

語学学校では、最初はレベルの高い人達に囲まれ、分からないことがあっても他人の時間を取ってしまうと思い、あまり質問できませんでした。しかしある日、クラスメイトに「お金を払っているのだから他人に迷惑をかける心配なんてしないで、分からないことは堂々と聞いていいのよ!」と言われました。その言葉を聞いてからは、人の目を気にするのではなく自信を持って話し、分からないことを聞くことができるようになりました。また、「日本人は母語がアルファベットではないのだから、欧米人よりもフランス語を学ぶのが大変なの。だから焦らないでいいのよ。」という先生の言葉にもとても救われました。

短い時間でしたが、モントリオールの文化に触れながらフランス語を学ぶことができて良かったです。