VOL.3
1981年卒業
在日フランス大使館
三宅 薫子さん

フランス側から日仏関係を見つめて

現在はどこでどのようなお仕事をなさっていますか。

在日フランス大使館に大使通訳として勤務しています。大使やフランスから来日する要人の通訳を務めるだけでなく、大使館と日本側のカウンターパートの橋渡しをしています。

通訳になろうと思ったのはなぜですか、またそれはいつ頃ですか。

アポロ11号の月面着陸や大阪で開催された万国博覧会を通して同時通訳という職業の存在を知ったのは小学生の時でした。その仕事ぶりに圧倒されたものの、特になりたいと思ったことはありませんでした。
フランス大使館には文化部の秘書として入ったのですが、当時の上司に鍛えられ、気がついたら大使付きの通訳になっていました。

現在のようなお仕事をされている立場から振り返って、上智のフランス語学科の授業はどうでしたか。

英語とフランス語では似ているようで全く意味が異なる表現が多く、それらを比較する授業がありました。全体的に英語のレベルが高い上智ならではの授業でした。

在学中に一番印象に残っていることは何ですか。

クロード・ロベルジュ先生の授業です。語学は臆することなく、恥をかきながら習得するものだと感じました。

フランス語の勉強で工夫したことは何ですか。

私はフランス語受験の帰国子女なので、同級生とはスタート地点が異なっていたかも知れません。大学の4年間は、コミュニケーションツールとしてではなく、学問としてのフランス語を見つめ直す良い機会となりました。

スランプに陥ることがありますか、そのときはどうやって脱出しますか。

一瞬でも全てを忘れる努力をして、短時間で結果が出る手作業に没頭してみます。今ならお菓子作りや台所の片付け。単純ですが、すっきりしてやる気が沸いて来ます。

通訳になるのにどのような努力をなさいましたか。

通訳の仕事とは、相手にとって聞きやすさを提供すること、そして単なる言葉の置き換えではなく、どうすれば発言の真意が伝わるかが大切だと思います。ですから、常に話し方には注意して来ました。また、ラジオは、映像に頼らずして音声だけでメッセージを発信する媒体なので、たいへん参考になります。
同時通訳は瞬時に聞き取ったことを、他の言語として発するという作業です。緊張感もありますし、何よりも判断力が求められます。ですから、普段から、世界で何が起きているのかを把握しておくのは大切です。
また、テレビやラジオから流れるニュースを聞きながら、その場でそれを復唱してみる、さらにその場で訳してみると良い練習になります。

Hollande

最後にメッセージをお願いします。

グローバル化が進む世界の中で、フランス語圏は拡大されつつありますが、フランス語がヨーロッパ大陸で誕生した言語であることは否定できません。そしてキリスト教文化の多大なる影響を受けているのも事実です。在学中に、上智大学の根底に流れる、キリスト教精神を体験されることは、必ずや将来の役に立つでしょう。