一般財団法人 日本生涯学習総合研究所
本研究は内容言語統合型学習(CLIL: Content and Language Integrated Learning)に関するものである。CLILは理科や社会などの教科学習と英語を中心とする語学学習を、 21世紀の国際基準となっている教育原理と指導技法を組み合わせて実践する教育法であるが、教科の学力や語学の能力だけでなく、思考力や異文化力の育成も、目標・指導・評価に組み込まれている。元来は今世紀に入ってからのヨーロッパ各国(特にスペイン、オランダ、オーストリア、フィンランドなど)で普及した教育法であるが、現在では世界各地で実践されており、日本でもこの10年間で実践する学校や教員が急増している。そのタイプには、①英語教員が自分の授業に取り入れるもの、②英語科の一科目としてカリキュラムに組み入れられているもの、③授業開発や教員研修のために学校全体で教科横断型授業を実践するもの、④数学や理科などの一般教科科目としてカリキュラムに取り入れられているもの、などがある。本研究の対象とするのは③のタイプであり、2019
~2022年度の4年間にわたり、研究協力校(雲雀丘学園中学校・高等学校)において 50時間分の授業が実践されている。特筆すべきは一般教科教員と英語科教員の協働であり、その取り組みは他校のカリキュラムデザイン、授業設計、教材作成、授業実践のモデルとなりうる。完成年度である本年度は、その全体像を取りまとめ、国内外での学会発表や教員研修で共有し、最終報告書を作成する。