稲葉 奈々子 (いなば ななこ/Inaba Nanako)

2015年着任 教授 学術修士(1996年 東京大学)
オフィス: 2-612
TEL: 03-3238-3567
MAIL: inabananako@sophia.ac.jp

担当科目

※2023年度春学期サバティカル

(博士前期課程)国際社会学研究1(基礎), 2(応用)
(博士後期課程)国際社会学専門研究1(基礎), 2(応用)

研究関心

国際社会学、移民研究、社会運動研究
国民国家の枠組内で機能してきた政治を揺るがす現象であるグローバリゼーションが、市民社会や社会運動に及ぼした影響を、フィールドワークにより実証的に研究している。おもなフィールドはフランスでは住宅困窮者による空き家占拠運動、日本では反貧困運動や、DVサバイバーの移住女性の自助組織など。

主要業績

(1) 「社会を取り戻す人々:フランスにおける都市底辺層の反グローバリズム運動」『社会学評論』258号.2014年
(2) 「社会的排除に抗する社会運動のオルタナティブ性─日仏の貧困の当事者運動からの考察」『理論と動態』第4号. 2011年

学生へのメッセージ

近年では、日本でも、反原発運動に代表されるように、さまざまな社会運動が展開するようになってきました。社会運動の担い手は、「空気読めない一部のヘンな人たち」、と言われてしまうこともありますが、フランスの社会学者トゥーレーヌは、「未来を預言する人々」と称しました。今は、ごく一部のマイノリティの主張であっても、それが実は社会のメンバーすべてにかかわるような重要な問題であり、それを先駆的に指し示しているのが社会運動の担い手だ、という考え方です。たとえば原子力が未来のエネルギーで鉄腕アトムがヒーローだった時代に反原子力を訴えた人たちは、当時は、「ヘンな人」扱いされましたが、今日それを言う人はいないでしょう。しかし、現在進行中のマイノリティを担い手とする社会運動の主張が、未来を預言するものなのかは、研究する私たちが、そこから何を読み取ることができるかにかかわっています。それには、自分の常識のメガネをはずして、彼ら・彼女らの主張をじっくり聴くところからはじめてみませんか。