1月31日、サンパウロで第1回日伯学長会議が開かれました。昨年(2024年)5月に岸田首相がブラジルを訪問した際にブラジル側と締結した共同声明の中で、日伯の大学間の交流を促進するべく、学長会議の早期開催を期待するという文言が盛り込まれ、学長会議の実現に至ったというわけです。幹事校はサンパウロ大学と筑波大学。日本、ブラジルともに10大学が参加しました。ブラジリア大学やカンピーナス州立大学(Unicamp)など上智とも協定を結んでいる大学も含まれていました。ジアス先生と私は森下哲朗副学長とともにこの会議に参加したわけです。
会議と会議の間のコーヒーブレークやランチタイムにはブラジルの大学の学長や副学長たちとお話することができました。上智の存在を知っている学長たちもいれば、「初めまして」状態の学長たちもいました。でも総じて日本との学術協力には本当に熱意を持っていることを随所に感じました。ブラジルの学生を日本に送るだけでなく、日本の学生がブラジルで学べる準備もあるとして、たとえば外国人向けのポルトガル語のコースがあることや、自分たちの大学でも日本語を学ぶ学生は多く、日本への関心は高いことを強調されていました。
参加した日本の大学の中にはポルトガル語学科やコースを持たない工学系や医学系の大学もありました。まだ数は少ないようですがブラジルから留学生が来ているそうです。上智にいるとポルトガル語学科があるのでブラジルとの交流と思いがちですが、医学や工学、科学といった分野を通してブラジルとのつながりを作ろうとする大学もあるのだと改めて思いました。今回の日伯学長会議の大きなテーマは「地球規模課題の解決に挑む日本とブラジルの大学の役割」でした。気候変動や自然災害、また生成AIやサイバーセキュリティの問題は政府間だけで話すものではなく、アカデミア(学術界)もかかわることでより実りある議論ができるということだと思います。
会場となったサンパウロ大学はとにかくキャンパスが広かったです。キャンパス内を車で移動するほどです(実際キャンパス内は市バスが走っています)。会議後のレセプションは学長棟最上階のお部屋で行われました。ブラジル風のカクテルパーティで、ポンジケージョやドーセ・ジ・レイチの入ったケーキなど、しばしブラジルの味を満喫しました。耳をすますと、どこからともなくサンバのリズムが聞こえてきました。サークルの学生たちが練習していたようです。もうすぐブラジルはカーニバルです!
(子安昭子)