コロナ禍の映画鑑賞

西村君代

映画を観ることが好きだと言えるくらいに映画を観始めたのは、ちょうどイスパニア語の勉強を始めた大学時代なので、自然な流れでイスパニア語圏の映画を観る割合が高くなります。日本でイスパニア語圏の映画を上映するのは主にミニシアターと呼ばれるタイプの劇場で、映画はもちろんのこと、それぞれ異なる劇場の雰囲気に身を置くのも楽しみの一つです。

残念ながらコロナ禍が始まった去年の春以降は劇場で映画を観ることをほぼ自粛していますが、苦境に立たされている劇場のことを考えると、大変胸が痛みます。早い段階で立ち上がった各種の支援プロジェクトにわずかながら協力しましたが、特に「仮設の映画館」は、オンラインで映画を観る際に、全国の映画館から一つ選び、鑑賞料金が通常の興行収入のように扱われるというものでした。各地のミニシアターから、今日は「仙台で」観よう、今日は「宮崎で」観ようと選ぶのはとても楽しい体験でしたし、オンラインでなければ観なかったかもしれない国やタイプの映画と数多く出会えたのもうれしい財産となりました。

イスパニア語圏の映画と言えば、「ラテンビート映画祭 (Latin Beat Film Festival)」に触れないわけにはいきません。今年で18回目を迎えるこの映画祭は、イスパニア語圏(時にポルトガル語圏)の映画を日本でまとめて見られるとても貴重な機会で、2004年の第1回から、毎年10~20本の映画を上映しています。監督や出演者が来日し、トークセッションを行ったりするのも特別な体験です。以前時間に余裕があった時には、ほぼ一日中劇場にいて3本観るというようなこともありましたが、忙しくなって上映スケジュールがうまく合わず、1作品も観に行けないということも近年続いていたので、去年の第17回がオンライン開催になったことは、個人的には大変ありがたいことでした。オンラインで提供された9作品をすべて観ることができましたが、イスパニア語の教員・研究者としては、いろいろな国のイスパニア語が聞ける機会でもあり、映画鑑賞としては邪道と知りつつ、聞き取れなかった箇所を一時停止して確認したりということもついついしてしまいました・・・。今年の第18回もまもなく情報が発表されるはずです。どういう形態になるのかわかりませんが、今年もできるだけ多くの作品に触れられるといいなと思っています。

↓ラテンビート映画祭の公式ホームページです。
https://www.lbff.jp/

 

 


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