こんにちは、ドイツ語学科3年の河野結です。私はドイツのハイデルベルク大学で在外履修を行い、現在はオーストリアのグラーツ大学で一学期間の交換留学を行っています。グラーツ大学では夏学期が3月に始まり6月で終わるので、こちらの記事を書いている現在はテスト前の勉強に追われています。いよいよ帰国日も近づいてきたところで、長いようであっという間だった留学生活を振り返ってみたいと思います。
私の留学先であるハイデルベルクとグラーツはどちらも大学都市として有名で、留学生も多く、非常に暮らしやすい街です。どちらも街の規模は控えめですが、グラーツはやはりオーストリア第二の都市なので、都会の雰囲気と若干の忙しさを感じます。ドイツの中では小さめの街であるハイデルベルクでは、もう少し空気がのんびりとしていたような気がします。旅行で短期間のみ訪れた街でも、それぞれ雰囲気が違うことは感じますが、暮らしやすさや住んでいる人の傾向などは、やはり住んでみて初めて実感できるものだなと思います。
ハイデルベルクでは到着後すぐに学期前語学コースが始まったのですが、そこで意外な出会いがありました。クラスメートはほとんどがヨーロッパ系でアジア系は私一人のみだったため、少し寂しさを感じていると、どこからか「すみません、日本の方ですか」と流暢な日本語が聞こえてきました。「え、日本人?」と思い、声がした方を見ると、なんとクラスメートのアメリカ人留学生でした。以前に日本語を勉強したことがあるそうで、ほぼネイティブレベルで日本語を話せる方でした。彼は日本語もドイツ語も非常に上手で、コースの中では何度も助けてもらいました。
こんな素敵な出会いから始まった留学生活ですが、ドイツ留学おなじみのトラブルもいくつかありました。例えば保険料を払っているにもかかわらず、保険証が一向に届かない、滞在許可証を申請した先の外国人局からは音沙汰がなく、ビザなしで滞在できる3カ月が過ぎそうになる、などなどです。幸いにも、どちらも落ち着いて対応すれば意外とあっさり解決したのですが、言葉の壁もある中で直面するトラブルはなかなかのストレスを伴うものでした。ですが、この二つの問題を解決し、在外履修期間も折り返し地点に入った頃には生活にも慣れ、また、心理的な余裕もできたため、在外履修の後半はゆとりをもって生活できるようになっていました。このころからタンデムの回数を増やして、ドイツ語を話す時間を積極的に作っていくなど、留学の最大の目的であるドイツ語の向上に集中できるようになりました。自身の成長もこのころからわかりやすく現れたのではないかと思います。
勉強面については、ハイデルベルク大学は留学生向けの授業を比較的多く提供しているため、その中からいくつか授業を受けていました。ドイツ語のライティングやドイツの歴史の授業を受けていたのですが、ドイツ語を上達させるという面に重きを置きつつも、同時にドイツの文学や歴史について学ぶことができるという点で、日本で学んでいたころよりも段階の上がった勉強ができたと感じました。歴史の授業ではドイツ史の中でもハイデルベルクにフォーカスし、日本で紹介されることの少ない歴史を詳細に学びました。授業の形が講義とエクスカーションを織り交ぜたものとなっており、旧市街を歩いて街に残る中世文化について説明を受けるなど、留学の地について知る絶好の機会となりました。学校でこういった授業を受けながら、在外履修後半の期間は特にトラブルもなく過ごすことができ、二月には最終試験を受けて、ドイツでの在外履修を終えることができました。
ハイデルベルクでの在外履修を終えて、今度は国を超えてオーストリア・グラーツでの留学が始まりました。国は変わりましたが、お隣の国で言語も同じということで、新しく生活を始めることに対して困難を感じることはほぼありませんでした。ですが、勉強面での負担は一気に増えることになりました。ドイツでは主に留学生向けの授業をとっていたのですが、グラーツではそういった授業があまり充実していないということと、交換留学であるということもあり、正規生向けの授業をいくつか履修したためです。内容的には入門コースばかりでしたが、オーストリア人の学生に向けた授業なので、授業資料や先生の話す内容を理解するにも語学コースと同じようにはいきませんでした。そのため、予習復習に非常に多くの時間を割く必要があり、授業のストレスからコーヒーとチョコの消費量が激増しました(笑)。授業内容を理解することは簡単ではありませんでしたが、今まで学んできたドイツ語を使ってさらに発展的な内容を学ぶことで、自身の成長を実感することもできたため、非常に良い経験となったと感じています。残るは最終週のテストのみのため、合格できるようにしっかり準備したいと思います。
帰国を目前にし、こうして留学生活を振り返ってみて、ドイツ語圏の二つの国に留学できて本当に良かったと感じています。一年という短い期間の間に新しい環境で生活基盤や交友関係を二度築くことは簡単ではありませんでしたが、苦労した分、ドイツとオーストリアを実際に住んで比較することができたり、新たな交友関係を築いたりと、一年という短い時間の中で非常に濃い経験を得ることができました。留学もあと二週間で終わりということで、最後まで精一杯やり切って帰国したいと思います。