こんにちは、ドイツ語学科3年の石井裕敬です。今年の3月からボンに留学しています。
留学前
留学する前のドイツに対する印象は最悪でした。というのも去年の夏に行った1週間の下見旅行の2日目で、サッカー観戦前に目の前で友達がふたり分のチケットを強奪されたあげく横からビールをかけられるという災難にあったからです。その後警察沙汰となり、チケットを盗んでビールをかけてきたドイツ人夫婦もこっちが盗んだと主張してきたためこちらも引けない状況になりましたが、ビールをかけられた友達がドイツ語を話せた事とチケットの写真を買った直後に撮っていてその番号が一致したことが決め手となり、試合を見ることはできましたが、残りの5日間は只々帰りたくて仕方ありませんでした。また私は成績が足りなかったので在外履修に行けず、半年ずれての留学となったのですが(それもGPAがあまりに低かったためはねられそうになりました。わざわざ私のために推薦状を書いてくださった鹿島先生、相談に乗ってくださった河崎先生をはじめとする先生方どうもありがとうございました。おかげさまで今留学する事ができています。)在外を終えて帰ってきた友達が皆やつれきっていたので、「きっとつらい半年になるのだろう」ととても陰鬱な気持ちで出国しました。
生活
実際の留学生活は予想に反して、とても楽しいものでした。まず初めての一人暮らしは新鮮そのものでした。私は日本食がとにかく好きなので、どうやってドイツの食材を使って日本食が作れるかと常に試行錯誤しています。パスタの作り方すら分からなかった留学当初の状況から考えるとかなりの成長だと思います。そしてなにより同じ留学生の台湾人や韓国人やアメリカ人とお互い拙いドイツ語でコミュニケーションをとったり、ドイツ人の友達とタンデムをしたり一緒に遊びに行ったりするのが私にとってとても良い時間になっています。他のアジアの留学生との交流の中で私は他の近くの国の事を全然知らないのだと気づかされ、また同時に彼らの話を通してとても興味を持つようになりました。時間があるうちに友達になった留学生を訪ねて旅行をしたいと思っています。また色々なところで私を楽しませてくれたドイツ人の友達2人が秋から日本に留学するという事で今度は自分が日本の色々な良いところを紹介できたらと思っています。話のテーマを生活に戻します。今ドイツの気候は暖かくカラッとしていてハワイみたいです。ボン大学の前にはホフガーテンという大きな芝生の広場があるので学校終わりなどによくそこで、円になってゲームをしたり、サッカーやバレーボールをしたりしています。逆に冬は辛かったと半期前から留学していた人達はいつも言っています。
留学を通して
帰国まで残りの1ヶ月半ほどとなりました。欲を言えばもう半年か一年ドイツにいたいのですが、単位やインターンの関係で日本に戻る事にしました。私の留学の成果は何らかの困難を通して自分の精神を鍛えられた事ではなく、今までと全く違う状況に身を置いてみて、自分の新たな可能性に出会えたことだと思っています。留学前の私はバイトをしたり、友達と遊んだり、テストのための勉強をしたりと大学生として充実しているであろう自分の生活に満足する一方で、それも2年目となりどこか退屈していました。かといって何か新しい事に挑戦する気概もなく、何か現状に問題をかかえいる訳でもないし、むしろ上手くいっている方であるから何か他の事に挑戦して失敗するよりはとひたらすら保守的になっていました。この数ヶ月の海外生活はそんな私の生活に瑞々しさを与えてくれました。外国人の友達を作ったり、言葉の通じない国で携帯を買ったり、レストランでメニューが読めないまま訳のわからないものをとりあえず注文してみたり、色々な新しい挑戦を通して、これもできるあれもできると自分に自信がつき、もっと色々な事を挑戦してみたいと思うようになりました。またそれと同時に日本にいた時、無理と決めつけて切り捨ててしまっていた選択肢の中にも多くの可能性あったのだということに気づかされました。残りの1ヶ月半の目標は学んだドイツ語とこの留学で考えた事をしっかりと形にすることです。ドイツに着いてから今までは正直遊んでばかりで落ち着きがなかったので、残りのドイツ生活は期末テストで良い点数が取れるようにしっかりと勉強をしながら、自分が留学を通して考えた事を帰国後どう活かすのか明確にする事を目標にしたいと思います。