はじめまして。ドイツ語学科2年の山崎莉奈です。私は今ドイツ南西部に位置するフライブルクに留学しています。滞在は夏までですが、せっかく頂いたこの機会を利用して今日までの半年間を振り返ろうと思います。また私は休学留学をしているので、僭越ながら、今そのような留学を検討している人の参考になればと思います。
このような形で留学を開始したのには、成績という理由もありますが、ある一つの決断がありました。もともとドイツ語に興味のなかった私は、留学について考えるどころか学生生活において本来第一にくるべきである学業ではなく、部活動を優先させていました。もちろん部活動をしている人は他にもいますが、私にはその両立ができませんでした。このままでいいのかと悩んでいた時にふと、休学して一度部活動やバイトだけの毎日から離れ真剣に勉強してみようという考えが浮かんだのです。1年も離れるともしかしたら復帰が難しいかもしれないとも思いましたが、思い立ったらすぐに行動したいので、それでも行こうと決断しました。あまりに唐突な、ほとんど思いつきのような行動に周囲は驚いてもう少しあとでもいいのではないかと言われましたが、できるだけ早い方がいいと思い、2年秋からの留学を決意しました。
いつも思いつきで行動してしまうのでこちらに来てからも失敗はありました。留学前に最低限、保険と語学学校の手配をしておいたのですが、1年の留学期間のうち語学学校の手配期間は5ヶ月間だけでした。それは費用のこともあったのですが、そこに通っていてはドイツにいるのにドイツ人と交流することができないと考えたのです。今思えばこの思い切りがよかったのですが、そのせいでこの後苦労することになりました。
この留学で間違いなく一番大変だったのは語学学校を出る2月からの住居探しでした。大学街で、また環境都市であり1年の日照時間がドイツで一番長く住みよいこの街は、国内外から多くの人々が集まるため住居が不足しています。それはドイツ人でもなかなか家が見つからないと言われるほどでした。外国人、さらにはこちらでは大学生という身分がなくドイツ語もまだまだな私にはなおさらのことでした。一人暮らし用の部屋は、家賃が高いことに加え最低でも1年住んでくれないと貸せないというところばかりだったので、WG(ルームシェア)という選択をしました。通常のWGの場合、まずWebサイトで条件(年齢や性別、職業など)に自分が当てはまっている物件を探し、メールを送ります。そして返信があれば見学に行き、ルームメイトたちと会話をして、部屋を貸してくれるかどうかの連絡を待ちます。返信が来ないのは当たり前で、私は合計100通以上のメールを送り返信のあった数件に見学に行ったのですが、いつも私の他にドイツ人の候補者が何人もいて、連絡を待たずとも結果は見えていました。勉強に加えて部屋探しに追われ、気の休まる時間はありませんでした。3ヶ月探し、詐欺にも遭いかけ、2回引っ越しなんとか今の部屋に落ち着きました。このようなことが起こらないようにこれから個人留学される人には、日本にいるうちから住居探しをしておくことをお勧めします。ただ、WGは語学力向上にとても役立ちます。家にいる間もドイツ語を使うことになりますし、一緒に出掛けたり、ご飯を作ったりするうちに自然と言葉が身についていくと思います。入居前に会う機会があり、住み始めるまでお互いを知らないということはないのでそういう心配はいりません。
ここからはこの半年間での嬉しかったことを書きます。少しでも多くのドイツ人と知り合うために、この街に来て1ヶ月くらい経った頃からアルティメットのチームに入りました。練習日が少なく参加は自由だったため、勉強に支障はなく、息抜き程度に参加しています。入ったはいいものの、新しく来た外国人に対してそこまでオープンではありませんでした。それでも何人かは話しかけてくれますが、私のドイツ語力の問題もあり、すぐには馴染めませんでした。その馴染めなさが影響していたのか、プレーもお互い思うように合わせることができませんでした。それが2ヶ月くらい経って、だんだんとプレーが合うようになると同時にチームにも馴染みはじめました。チーム練が始まる前の時間にパス練をするようになったり、練習中も冗談を言ってくれるようになりました。そしてみんなが名前を覚えてくれたことが何よりも嬉しかったです。名前を呼んで指示を出してもらっている時、普段の会話ではまだ完全には意思疎通できていないけど、日本のチームの中でプレーしている時と同じような感覚になりました。
ここに書いた苦労したこと、嬉しかったことは、どちらも留学したからこそできたことです。どこにいてもやる気次第で言語を習得することはきっとできるので、ドイツ語のためだけなら多分今も日本にいたと思います。それでも留学することを決めたのは日本にいてはできない経験ができると思ったからです。この間に日本にいないとできないことがあったとしても構いません。もし今日本にいてこれから、社会人になってから留学をするとしたら今よりも勇気のいる難しいことでしょうから、あの時決断してよかったなと本当に思います。残り半年もいろいろな経験をし、たくさんのことを吸収していきたいです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。