こんにちは。
現在、ハイデルベルク大学に留学しているドイツ語学科3年の白石桃子です。ハイデルベルクはドイツ南西部に位置する大学都市で、学生の私にとってはとても暮らしやすい街だと感じています。
入寮初日に典型的な鍵のトラブル(ドイツの鍵はオートロック式のため鍵を室内に置き忘れると入れなくなることがあります。)を起こし、鍵穴の横にドリルによってもう一つ穴が開くというなかなかエキサイティングな留学生活のスタートを切りましたが、大学や日本学科が紹介してくれたタンデムパートナーのおかげで、今まで楽しく過ごせています。
3月の語学コースでは、ハイデルベルクを舞台にした推理小説を読まされ、犯人以前に、テキストの内容を推理するのに苦労しましたが、アメリカ 、ニュージーランド、スロバキアなどなど様々な国籍をもつクラスメイトと話す度に多様な文化や考えを知ることができたのは面白かったです。特に、授業がそろそろ終わる頃にやってきては爽やかに挨拶し、宿題をやっていない時は笑顔で堂々と「やっていません、パーティーで忙しかったから。」と言うイタリア人からは、私が思っていた以上に人生は自由で、悩むより楽しむことが大事なのかもしれないということを教わりました。というわけで、私もしばしば授業を失礼して旅行に出かけたのでした。
前期に取った授業の一つに日本学科が開講している日独翻訳の授業があります。新聞記事から、運転免許証、婚姻証明書、正露丸の使用上の注意までと少々変わったものもドイツ語に訳しました。授業中に先生は度々、日本人の私に日本語の微妙なニュアンスについて質問するのですが、「”下痢”と”腹下し”の違いについて教えてください。」と聞かれた時は、戸惑いを隠しきれませんでした。私も同じようにドイツ人の友人にドイツ語の似たような意味をもつことばの違いを質問しては彼らを困らせていますが、このような疑問は外国語として学ぶ人ならではの気づきなのかなと思いました。
また、今までの留学生活を通して感じたことの一つに、自分の意見を他の人と共有することの楽しさがあります。私の取った留学生向けと正規生向けの授業のどちらでも、少人数であろうと大人数の講義形式の授業であろうと、学生は皆、積極的に自分の意見や疑問に思ったことを発言します。私はもともと自分の考えをことばにするのが苦手なこともあり、日本の”比較的静かな授業”に満足していましたが、ここにきて周りの積極的な、活発な雰囲気に流されて自分の意見を発言してみたところ、何ともいえない楽しさがありました。他の学生と一緒に何か新しいことを発見しようとするみたいな。といってもまだまだ慣れないので後期はより一層、積極的に発言できればと思います。
「ドイツを象徴する動物は何か知ってる?」と聞かれて「Vogel(鳥)!」と答えるくらいに未熟な私ですが、外国語を使うことの難しさと楽しさを味わいながら少しでも成長できたらと思います。様々な出会いを大切にし、そして何よりこの留学生活を実現させて下さった方々に感謝しながらこれからも1日1日を楽しみたいと思います。