小さな州での田舎暮らし

石川輝

Servus, unn? Isch leere grad an der Universität Bonn.
初めましての方は初めまして。上智大学外国語学部ドイツ語学科3年生の石川輝です。さて私は今どこにいるかと申しますと、宮澤さんと同じく旧西ドイツの首都ボンにいます。ただその前3月までは在外履修でザールラント州の州都ザールブリュッケンにあるザールラント大学(Universität des Saarlandes)で勉強をしていました。

タイトルにもある通り、ザールラント州は南西ドイツにあるフランスと国境を接したドイツ最小の州の一つでもあり、田舎です。ミュンヘンやベルリンなどの都会に比べて、一番大きな町ザールブリュッケンでも17万人と森に埋め尽くされる勢いです。

ドイツはどちらかといえば田舎の方が多いし、田舎でもドイツにはバイロイトやテュービンゲンやローテンブルクなど魅力あるところは多いですが、ザールブリュッケンは本当に何もないダメな方の田舎です泣。友人が訪ねてきても、どこにも案内出来ないのが悩みでした。私も多分留学していなかったら一生来ていなかったと思います笑。

過疎地なのでどんなお店も遅くても20時に閉まって夜と日曜日はゴーストタウン化したり、電車は1時間に1本、夜色々な虫が部屋に入ってこようとしたり、訛りがものすごい強くて言っていることが聞き取れないなど、住んでいた頃は都会育ちでない私でも不便な点はたくさんありました。

こんな感じで日本や東京と環境が違いすぎたりして、来た当初は周囲に民家が何もない寮で寝込む時もありました。そんな時夜一人で寮の周りをうろついていたら、たまたまいたドイツ人に誘われてずっと外で話して本人も絶対少ないであろう自分の日本の知識を出してくれて、彼が言った「寂しい時はドイツ語を話さなくてもいい」という言葉は今でも悲しい時に思い出しています。その関係をきっかけに友人が増え、結局自分の誕生日パーティーには25人くらい来てくれました。

よくある地方にロケに行くテレビ番組みたいなエピソードですが、現地の人達にストレートに触れられるのも田舎ならではないでしょうか。今ドイツでは都会のボンにいてその良さを改めて感じています。観光客や日本人が少ないので、一般の人でもすぐに顔を覚えてもらえます。

人口が少ないから夜中出かけて遊ぶみたいな場所もあまりなく、仲間内でダベるか大学で勉強するしかないので、その分横のつながりも多いのかなと思います。日本語を全く勉強していない人や地理的な理由でフランスからの留学生とも仲良くなれました。

大学は他の地方からも来ている人も多いので、田舎暮らしの苦労が共有できるのは本当に心強かったです。一緒にシュヴェンカー(ザールラント版バーベキュー)をしたりザールブリュッケンよりもさらに人がいないザンクト・ヴェンデルにクリスマスマーケットを見に行ったりとお世辞にもドイツ語学科ではそこまで成績が良くなかった私でも十分に生活は楽しめていました。

引っ越してしまいましたが、ザールブリュッケンの雰囲気が恋しくなって今私はザールブリュッケンにちょっと戻ってこれを書いています。気軽に来れる場所ができたから、ボンでの留学生活もそこまでストレスがありません。ここにいる間Schwarzenbergturmというタワーの頂上で好きな人の名前を大声で叫んだりとsaarländischな休息を楽しみました。

ドイツにこれから留学を考えている方も、ドイツ自体田舎の割合が高いので図らずも田舎に行く可能性はかなり高いですが、田舎、本当に悪くないですよ。

読んでいただきありがとうございます。ではではまた夏はテント張って遊んできます。
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