たくさんの「はじめて」との出会いを大切に!

松本依蕗

Guten Tag!ドイツ語学科2年の松本依蕗です。私は今年の9月から在外履修でバンベルク大学に留学しています。今回、留学生活についてブログを書く機会を頂いたので、私の在外履修中の経験について書かせていただこうと思います。

在外履修が始まる前は半年間もドイツにいるなんてすごく長いと考えていましたが、ドイツでの生活が始まってあっという間に時間が経過してしまい、今ではこの街にはあと4か月程しかいられないのかという気持ちになっています。私が住んでいるバンベルクはバイエルン州のオーバーフランケンと呼ばれる地域にある小さな街です。日本ではそこまで知名度が無いのか、バンベルクと言っても私の家族や友人にはどこにあるのかあまりピンとこないようで、大抵「ニュルンベルクの北にある」とまで言わないと伝わらないことが多いです。そんなバンベルクですが、旧市街がまるごと世界遺産になっていて、とても美しい街並みが広がっており、私は住み始めてすぐにバンベルクが好きになりました。バンベルク大学の校舎は街中に散らばっており、他の古い建物やお店に溶け込んでいるため、ぱっと見では大学の校舎だと気付かないこともありました。そのため、大学での授業を受ける時は歴史ある街の一部となって学んでいる感覚を味わっています。また、先ほど書いたようにバンベルクは日本人にとって定番の観光地ではないこともあり、他の街に比べ、日本人を見かけることも少なく、今ドイツにいるんだと実感することも多いです。

レグニッツ川(バンベルクの旧市街の中でレグニッツ川周辺は小ヴェネツィアと呼ばれておりいつもたくさんの人が集まっています

夜のレグニッツ川です

バンベルクに来てからの2か月は初めてのことだらけで、もちろんトラブルもありました。まず、当たり前ではあるのですが、言語の壁に直面しました。私は上智での授業を通して、日常生活レベルのドイツ語の語彙はけっこう身についているかもという幻想を抱いてしまっていました。ですが、最初のバンベルクまでの移動の時点で、駅のホームの表示や切符に書いてあることがいまいち理解できず、公共交通機関の使い方に苦戦したり、寮についてからも洗濯機に書いてある様々な項目が何のことなのか分からず洗濯室でしばらく辞書とにらめっこしたり…。とてもではないけれど自分の語彙が充分とは言えないと感じる経験の連続で、考えが甘かったと反省しました。ですが、カフェやレストランでの会話ではコミュニケーションの授業で習ったことがとても活かされています。店員さんや相席になった人と会話をするのは緊張しますが、積極的にドイツ語を使う機会を設けたいと思い続けています。簡単なやり取りではありますが、ドイツ語を話せている自信が得られるので、ドイツ語を試してみる場としてカフェはとてもおすすめです!また、街の人は私が困っている時や何か尋ねた時に快く助けてくださる方が多く、救われています。ただ、ドイツ語で会話をしようと思っても、こちらが少しでもドイツ語を話すのに詰まっている様子を見せるとすぐに英語に切り替えられてしまうことがあり、よく落ち込んでいますが、これからもあきらめず挑戦していきます。

次に、大学でのドイツ語の授業についてお伝えします。私は大学で提供されている準備コースに参加していたのですが、他の国から来た留学生がとても流暢にドイツ語を話しているのを聞いて自分のスピーキング能力の低さに焦り、自信の無さから余計に積極的に発言することができなくなるという状況に陥ってしまい、最初の週は教室に行くのがとても憂鬱でした。それでも、このままではいけないという思いがあったのと、先生や他のクラスメイトに言われた「間違えることは当たり前だから積極的に」という言葉から勇気を出して発言するようにすると、先生もクラスメイトもしっかりとこちらの話を聞いて会話をしてくれるようになっていき、自分から主体的に働きかけることの大切さを身に染みて実感しました。冬学期が始まってからの授業でもインターネットや本に頼らず、街で人に話しかけて答えを探さなければいけない課題があり、人見知りをしてしまう私にはかなり難題でしたが、逆に自分の殻を破る経験にもなりました。

また、大学生活でも、それ以外でも、私を支えてくれているのがタンデムパートナーです。住民登録や履修登録などの手続きだけでなく、バンベルクについたばかりの私に街を案内してくれました。定期的に一緒にカフェやショッピングに行ってドイツ語で会話したりなど、パートナーと楽しく言語や文化の交流をしています。ドイツでの生活をはじめたばかりで色んな公共料金や手続きの手紙が来て自分の対応が合っているのか不安でいっぱいだった時も、丁寧に分からないことについて答えてくれて、とても助かりました。また、タンデムパートナー本人だけではなく彼女の他の友人とも交流することができ、様々な国の文化や言語に触れられる貴重な機会となっています。他にも、本当にたくさんのご縁にめぐまれ、バンベルクに長年住んでいる日本人の方と出会うことができ、その方の卓球仲間のドイツ人たちに混ざって卓球を一緒にやったり、ご飯を食べたりしています。ドイツ語で話しながら卓球をするのはなかなか集中力が必要ですが、楽しいです。また、バンベルグ大学で日本語を教えている方と知り合ったことがきっかけで、日本語を学ぶドイツの学生との言語交換もしています。

タンデムパートナーとの交流

日本語を学んでいる学生とMensa (食堂)でランチ

バンベルクでの生活を通して、たくさんの人と関わることができ、色んなことに対して待つのではなく自分から働きかけることが必要だと日々学びを得ています。そして何より、初めてのことに対して臆せず、むしろ、楽しめる精神を身に付けられていると思います。ドイツに来たばかりの頃は言葉が伝わらないことや人に話しかけること自体を恐れていました。でも、せっかくドイツに来ているのに受け身のままではいるのはもったいないと、日本にいた頃では考えられないほど今では人と関わることを楽しめるようになってきていると自分自身に変化を感じます。また、大学が提供している、街の歴史的な建物を紹介する遠足でバンベルクの歴史を学んだり、バンベルクの人達との会話の中でバイエルンやフランケン特有の名詞や方言を知ることができたりするのも興味深くとても楽しいです。これから他の都市や国にもたくさん旅行をしたいと考えていますが、こういったバンベルクならではの体験や地元の人々との交流を大切に残りの4ヶ月を過ごして行きたいと思います。

ここまで読んでくださってありがとうございました。最後に、ドイツでよく使っている私の好きな挨拶でお別れしたいと思います。Schönen Tag, Tschüs!

Schäufele mit Kloß(ショイフェレというフランケン地方の豚肉料理。ドイツのレストランでは1ポーションが大きくてたべきれないので小さめを頼むことが多いです。)

Bamberger Hörnchen(バンベルク名物のクロワッサン。街のどのベーカリーにも置いてあります。)