身体にしみこむフランス語

Report : Tozawa

Comment est-ce qu’on apprend le rythme et l’intonation ?

「音が綺麗だったから」これが理由で上智を志す人がいるほどに、フランス語の音とリズムは魅力的なものです。またそれだけに独特であり、身につけるまでにはちょっと時間がかかります。

私も初めのうちは英語のクセが抜けず、授業中に当てられて、ネイティブ の先生と二人三脚を披露したこともあります。
しかし、このような身振り手振りを交え、身体を使いながら覚えることを繰り返すと発音がより自然になり、とっさの一言でもさらっと話せるようになるのです。

英語のなまりが・・・抜けない

きっかけは1年生の5月のこと、あいさつの表現をひと通り学んで、少しずつ文章を作るようになった頃のことです。フランス語は英語とはまったく異なる発音やリズム、抑揚を持っていてそれが魅力のひとつでもあるのですが、 中学・ 高校と 6 年間学んできた英語の影響力はとても強くて、いわば「英語なまり」 を引きずって喋っている有様でした。

そんなある日。 “J’habite à Tokyo. (私は東京に住んでいます) “

…この短い一言がすべての始まりでした。フランス語の音の特徴は一つ一つの母 音の長さを揃えることと文の最後の語にアクセントを置くことで、それを参考に 上のフランス語をカナにしてみると

「ジャ ビ タ ト キョ」と、こんな具合になります。ところが英語のなまりはここでも出て、単語にアクセントを置くやり方で、

「ジャビーッタ トーキョ」と、こんな風に喋っていました。

二人三脚?!

そのときネイティブの先生が急に立ち上がり、「戸澤くーん、ちょっと前に来な さい」と呼び出しました。何を思ったのか先生は私の右側に立ち、運動会で見ら れる二人三脚の姿勢をとりました。そして、

「ジャ ビ タ ト キョ」

と発音しながら、その音の1つずつに合わせて一歩一歩足を進めました。つられて私も一緒に足を進め、机と机の間を歩き回りました。朝一番、しかもクラスメ イトがじっと見ている中で繰り広げられたおかしな二人三脚はかれこれ5分くら い続きました。

身体にフランス語が「染み込む」

かなり恥ずかしかったのですが、今になって気づいたことがあります。

それは、普段私たちが話すときでも、言葉を話すこと体を動かすこととは密接につながっているということです。喋ること自体が筋肉を使った一種の運動であり、また話している最中にジェスチャーを添えることも多いですね。

逆に喋りながら体を動かすことで、普段私たちが話している姿に近くなります。 言葉や文章は何度も喋ると覚えやすくなるのはもちろん、外国語を喋るんだ、と特別に緊張したり怖くなったりすることが減って、もっと自然に話すことができるようになるのです。それが「染み込む」ことなんだと思います。