留学する?しない?

Report : Nshiwaki

留学しなくてもフランス語はできるようになる!

留学すればフランス語が上達するのは間違いないでしょうが、全ての学生が留学するというわけではありません。日本で腰すえて頑張ろう!という学生もたくさんいます。
フランス語ができるようになりたいけれど、留学という道を選ばない。そこには、フランス語を学習している理由、目標、勉強方法などに多様性がありそうです。
フランス語学科、フランス文学科の3年生に話を聞いてみました。

先輩1の話:本当に行きたくなったときに・・・

私は語学ならいくつになっても学べる、だから在学中は学生らしく生きよう!と思って丸々3年間サークルに打ち込んでました。
フランス語は読みたい本が読めて、旅行の時に困らないくらいはできるようになりたい、位の気持ちでした。身近に、社会人になってから半年~2年くらいのスパンで留学してる人が多かったので本当に行きたくなったらいつでも行ける、どうしても行きたくなったら旅立とう!と思ってます。
あとは経済面で考えました。留学するとなるとどうしてもお金がかかってしまうし、自分の経験のために行くのだから親に出してもらうのって・・・と思って留学は考えませんでした。
ただ、留学という身近な目標があるかないかでモチベーションはだいぶ変わってくると思います。特に長期休暇中などは仏検の試験日も遠いしフランス語からは離れがち。
でも私自身は本当にやりたくなったときに、自分の力で行く方が必死になれそうだなぁ、と思ってます。軽い気持ちで行っても短期じゃ身につかないし、長期では挫折してしまいそう。

先輩2の話:研究テーマがはっきりしたら・・・

留学しない理由は、留学先で没頭できる研究テーマがなかったから。私は言葉習得のみを目的とした留学はほぼ無意味だと考えます。言語を通して何を見るか研究するかが言語を専攻する者にとっての大前提だから。言語は日本でもできる。

私は、フランス語を通して共和国や啓蒙思想を学んでいます。日本やアングロサクソン社会と違った共和国のことを研究することによって、従来の価値観から解放され新しい視野を持つことが学習の目的です。

研究にあたり、何に興味があるのかをはっきりさせることが必要だと思います。そして関連する文献をまず日本語で相当量あさって、向こうで授業についていけるくらいの最低限の知識や教養をつける。それができてからのほうが収穫があると思います。日本でできることを全てした上で留学に行くのが筋の通ったやり方だと思います。なので、私は大学院に進学してから留学したいです。

勉強法は、私の場合共和国思想や啓蒙思想に関する文章になるべく触れるようにしています。骨のある文章を読むとフランス語力は自然につくはず。あとは文学も。知的な文章に出会ったらその表現を自分のものにするように作文で活かすようにしています。

先輩3の話:原文でフランスの小説を読みたい・・・

私がフランス語を学びたいと思ったきっかけは、高校生のときサガンの小説を読み、訳者によって作品の雰囲気が違っていたので、原文で小説を読みたいと思ったからです。大学でフランス語を始め、小説を読むということは語学力だけではなく、内容を深く理解・解釈することが重要であると気づきました。特に同じような言葉の繰り返しに、作者の意図が隠されているということなどを授業で学んだことがとても面白かったです。留学で原文を読んだとしても、日本でのように細かい解釈の勉強はできないだろうと思い、日本で勉強することを決めました。3年生の授業ではテキストの解釈を学ぶことができるので、私にとっては留学しないことを選択したことで、やりたいことを実現できたと思います。

先輩4の話:歯の矯正がなあ・・・

僕が留学を考えなかったのは、地味で個人的だけれど歯の矯正の問題があったためです。
それに、やたらに留学したがるのではなく、日本でフランス語をしっかり勉強してからフランスに行くのも悪くないと思っています。
留学をして早くにフランスでの生活に慣れれば、日本で勉強するよりも早く語学力はつくかもしれません。
しかし、準備期間が長いわけではないので格段に苦労も多いと考えています。
その点、日本でしっかり勉強してからフランスへ、というなら、早く留学して苦労するのに比べ余裕があり、同じ期間でもより深くフランスを味わえるんじゃないでしょうか?

先輩5の話:上智で言語学を学びたい!

私は、フランス語をはじめ広く言語の仕組みというものに興味を持っています。
そもそも上智のフランス語学科を選んだ理由のひとつが言語学を副専攻として勉強できるというものだったので、
留学するよりは上智に残って言語学関連の科目を取りたかったのです。
もちろんフランス語が上達することも大事ですし、そのためにはフランス語圏に留学することが手っ取り早いと思います。
しかしそれは今でなくてもいいのではないか、日本でもまだまだ学ぶことはあるし、
その後で留学した方が効果があるのではないかと考えたのです。
フランス語の学習法ですが、授業以外では仏検を受けたり、翻訳で読んだことがあるフランス語の小説を読んだり、という感じです。

先輩6の話:ちゃんとした目的が見つかってから・・・

フランスの大学で勉強するためには中途半端な語学力で行ってはついていけないし、果たして身につくのだろうかと思います。ましてや大学時代に学んでこなかった専門分野ならなおさらのことです。
完全にはわからない言語で教えられても無意味。フランスの文化や生活習慣を学ぶことはいいことですが、毎週遊んでいたりして一年過ごしてても、結局帰ってきて向こうで何してきたの?ということになるのではないかと思います。
フランスの大学に行くならある程度の語学力と向こうで何を学ぶか、きちんと目的を持って行きたいです。
だから私は大学の4年間日本でしっかり勉強することは大切だと考えています。留学はそれからでもいいのではないか、と思います。

まとめ

私は、留学はしたい時にいつでもできると思っています。学生同士の交流など今しかできない経験もあるでしょうが、私にとって上智大学での4年間はそれ以上に貴重です。
私は現在、フランス語科目、言語学副専攻の科目、そしてフランス語と英語の教職科目を履修しています。語学力を高めるために留学をしたいという気持ちもありました。しかし4年間で履修し切れないほどたくさんの魅力的な授業があり、自分にとって有益なのはどちらかと考えた結果、留学しないで日本で勉強を続けることに決めました。
「フランス語を学ぶ」のではなく、研究分野を「フランス語で学ぶ」ことに留学の価値があると思います。私もまず究めたいことを見つけ、それが是非フランスでやりたいことであれば留学の道を選ぶでしょう。
もちろん話せるようにはなりたいのですが、それだけが全てではありません。重要なのは何を語ることができるかだと思います。私は教師を目指しているので、子ども達の人生に少しでも良い影響を与えられるような人間になりたいし、学び続ける姿勢を忘れないでいたいです。ですから、私にとってフランス語が話せるようになることは目的ではありません。語学は強い意志があればどこにいてもできるものです。ある程度自信がついたところで力だめしをしに行くくらいが、更なる学びや自信にも繋がると思います。

留学を選ばなかった人の中にも、今はしない、いつかしたいなど様々あり、そしてそれぞれに理由がありました。留学をしてフランス語がペラペラになるのにも憧れるけれど、今ここ日本で勉強したいことがある。留学先で勝負をするにはまだまだ準備が必要だ。等々、留学をしようかしまいか迷った2年次ですが、3年生になった今ではしっかりと腰を据えて、日本でやってやるんだ!という強い意志が見られました。日本でないと勉強できないこともたくさんあります。また、日本でしっかりやってから留学しようという人がいるように、日本でもできるんです。中にはスピーチ大会で活躍している人もいたりと、日本で上智で頑張っている私たちです。