私は交換留学で2023年8月から2024年5月までの約10か月間、南フランスのマルセイユに近い街エクサンプロヴァンスのエクス=マルセイユ大学に留学をしていました。この町を一言で表すと、太陽燦燦と降り注ぐ人の温かみのある街です。気候も穏やかで、出会う人達は優しい人が多かったです。
1 留学の目的 私はもともと、気候の良さと日本語学科があることから、この大学を選びました。私の留学目的は、本場で話されているフランス語を聞けるようになり、自分の考えをフランス語で伝えられるようになること、フランス文化を体験することでした。日本に関心をもつ学生がいる大学ならコミュニケーションも取りやすく、仲良くなり、地元の文化も沢山吸収することができると考えたからです。
更に、南仏は、冬でも晴れていることが多く、その気候の良さに惹かれました。
期待通り、本当に日本語学科の友達が沢山でき、彼らに沢山助けられながら10か月間、穏やかな気候の中で楽しく過ごせました。
2 留学先の環境 エクス=マルセイユ大学は国際的で留学生が多い大学です。そのため、Tandemと言われる言語交換制度や、Café des langues昼休みに言語を学ぶ人で集まって話す会、ボランティアで行われる語学勉強会など、言語を学び交流する制度があります。私はこのイベントに沢山参加することで様々な人と出会いました。
Tandem
Tandemとは学内の言語交換制度のことで、ランダムで言語を学びたい人同士がマッチングされ、各学期6回ずつ、言語交換をします。私は日本語学科の1年生と言語交換をしていました。中心街に行ってカフェで話し、交流を深めました。お互い言語を勉強しているのであまり緊張せずに、文法や単語が合っているのか分からない時も口に出して話して、その単語や文法が合っているのか確認しながらコミュニケーションを取ることができました。タンデムを通じてこのような表現の中にもお国柄や人柄の違いを発見でき、面白かったです。
3 話すのが大好きな文化 フランスで暮らしていて一番びっくりしたことは、みんなよく話しかけてくれる、話すのが大好き、という点です。確かに海外の人は日本人より話すイメージがあると思います。しかし、フランスではその中でも見知らぬ人とも話しますし、人と話す時間を大事にしている印象がありました。
例えばみんな議論が大好きです。上記の言語交換会では一つの話題に対してみんな熱くなって話しており、沈黙がある瞬間がなく、面白いです。グループワークでも、意見をみんなそれぞれ持っていて、とても話しやすかったです。例えば、将来子どもが欲しいかどうか、結婚したいかどうかについて長い間話込みました。フランスではPACS(民事連帯契約)という制度があり、日本より多様な選択肢が存在するため、様々な観点からの意見を聞くことができました。
挨拶の文化 フランスではまずお店に入る時にBonjour, Au revoirと挨拶を言うことが大事です。これはもともとフランス語学科の授業で知っていた文化でしたが、帰国してから、とてもフランスらしい文化だったと改めて思いました。挨拶だけでなく、レジの人と話込む光景もよくありました。帰国後、久しぶりに日本でお店に入った時に、日本では何も言わないでお店に入ることに少し気まずさを感じてしまうほど、挨拶の文化が自分の中に馴染んでいました。
知らない人とも仲良くなれる文化 フランスは知らない人ともオープンに話せる雰囲気があると思います。例えば、旅行先から帰る電車で、私はある家族と相席になりました。3時間向かい合って座るのは少し恥ずかしいと思っていましたが、フランス人の友達にそのことをメールで伝えると、「じゃあ話しかけて仲良くなってみたらいいじゃん!」と提案してくれました。私はその発想は日本だと考えられないと思いましたが、せっかくなので話しかけてみることにし、最終的にその家族とカードゲームをしながら話すなど、仲良くなりました。最初は緊張したものの、どんな人にもオープンに気軽に話せる環境も楽しいと思えるきっかけになりました。
エクサンプロヴァンスの人柄 特にエクサンプロヴァンスでは、優しい人が多い印象を受けました。例えば、横断歩道を渡るとき、赤信号になってしまいそうな横断歩道でおばあちゃんが歩いていて、それを見たマダム2人がすかさず駆け寄り、おばあちゃんの腕を組んで歩くのを助けていました。私は話しかけても良いのかをためらってしまい、知らない人を助けることができないことが多いのですが、マダム2人はためらうことなく、すぐに話しかけて助けていました。気軽に話しかけることができる環境だからこそ、他者を助けることができると思いました。とてもささいな出来事ですが、私にとっては鮮明に残っている出来事です。
優しい学校の友達 私はエクス=マルセイユ大学のFaculté des arts, lettres, langues, sciences humainesと言われる、日本語で人文学科に当たる学部に所属していました。私は主に日本語学科の授業、言語学の授業、フランス文化を学ぶ授業、アフリカの文化人類学など興味のあるものを幅広く受けていました。
現地の学生と一緒にフランス語開講の授業を受けていましたが、学部の友達は本当に優しかったです。教室に入ると笑顔で挨拶してくれ、私の発音がひづく悪くても、話を聞いてくれる学生ばかりで、とても助けられました。例えば私が旅行に行くと、旅行先はどうだったか聞いてきてくれる学生もおり、打ち解けることができました。彼らのおかげで、あまり身構えずにフランス語を話すことができていたと思いました。
特に日本語学科の学生は日本文化に興味を持った学生ばかりで、興味を持って話しかけてくれてうれしかったです。今考えると、その環境に甘えてあまりフランス文化、例えば音楽やドラマについて自分から調べて話すことが沢山できなかったと反省しています。言語力だけでなく、その相手の文化に興味を持つことも、相手を理解するために大事だと彼らから学びました。
4留学を通して とても友好的な街で10か月間暮らして、沢山の発見や、人のやさしさに助けられることが多く、忘れられない思い出が沢山できました。太陽もいつも照っていて、気候も優しい環境であったこともあり、あまりストレスを抱えずに楽天的に暮らすことができました。もしフランスに留学する際は、是非エクサンプロヴァンスを検討してみてください!