VOL.13
2006年卒業
外務省 国際協力局
中山 麻沙子さん

自分の一番好きなものは何か

上智大学フランス語学科を卒業後,私は外務省に入省,東京での研修,2年間のフランス研修及び4年間の大使館勤務などを経て,現在,外務省国際協力局でハイチなどのカリブ諸国に対するODAを担当しています。

フランス語との出会いは,高校生のときでした。ケベックの修道会を母体とする学校の方針の下,必修科目としてフランス語を学び始めましたが,専門として続けたいと考え,フランス語学科への入学を志望しました。

フランス語学科では,英語圏への留学や滞在経験を持つクラスメートも少なくなく,そうしたある意味国際色豊かな雰囲気は,授業にも表れていたと思います。 外国語はそれまでも好んで勉強していたものの,海外経験が全くない身にはかなりおっかなびっくりの環境ではありましたが,専門性の高い先生方の授業を始 め,日々多くの刺激を受け,多様性に慣れるきっかけとなりました。

上智大学のネットワークのおかげで,高校時代からの夢だった交換留学の 機会をいただき,3年生の夏から4年生の夏にかけルーアン商業大学(École supérieure de commerce de Rouen)でマネージメントなどを学びました。その際に受講したNGOのマネージメントに関するゼミをきっかけとして開発協力に興味を持つようになり, フランス語を活かしつつ,政府の立場で開発に携わりたいという思いから外務省を志すようになりました。

 内定後,同期に様々な言語が割り振られる中,フランス語を専門言語として関連の業務に従事することが言い渡された時は非常に嬉しく,とても安堵したことを今でも覚えています。学んできたことをわずかでも国のために活かせると感じたからです。

入省後は,さっそくフランス語を少しだけ使いつつ,フランス,ベルギー,ルクセンブルクなどの西欧諸国を所管する部署などで“研修”業務を行った後,フラン スでの2年間の在外研修に出発しました。1年目は国立行政学院(通称ENA、École Nationale d’Administration)で各国の行政官とフランス行政について学び,2年目はパリ第2大学で政治学のマスターコースで日本語・フランス語の海 外における発信のあり方に関する比較研究を行いました。研修である以上,将来の業務にいかに役立てるかを考えながらの学生生活となりました。研修に集中しようと,極力日本と切り離した生活を送っていたため,孤独との戦いでしたが,得たものも大きかったと思います。

 モーリタニアに対する食糧援助の署名式

モーリタニアに対する食糧援助の署名式

その後,新設されたばかりの在モーリタニア日本大使館で政務,経済協力,経済,広報文化など幅広い分野を担当しました。小規模公館ゆえに何でも屋さんでしたが,数少ない日・モーリタニア関係強化の現場に従事する者として,外交そのものの醍醐味を味わうことができました。アフリカの後は,ヨーロッパに舞い戻り,スイスのジュネーブ領事 事務所で広報文化担当として,主に仏語圏における日・スイス外交関係樹立150周年を記念する様々な文化事業を企画しました。フランス語を駆使して地元の TVやラジオに出演することもありました。

文化行事の宣伝のため,地元のTV番組に出演

文化行事の宣伝のため,地元のTV番組に出演

帰国後も,要人の通訳や担当業務の中で,フランス語を活用しています。語学力を維持することは容易ではないですが,常に初心に返って,単にフランス語が好きという純粋な気持ちを忘れないように心がけています。この先にどこに勤務しようと,どのような業務を担当しようと,自分の原点はそこにあるという気持ち で・・・

 

モーリタニアの思い出

首都ヌアクショットの町並み

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大使館のそばは砂漠

大使館のそばは砂漠


魚を使った地元のお料理

魚を使った地元のお料理


一番のご馳走はヒツジ肉

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