VOL.7
2008年卒業
㈱リコー
椎橋祥子さん

フランス語学科で学んだことを糧に

現在はどこでどのようなお仕事をなさっていますか。

 私は2008年3月に仏語学科を卒業し、現在㈱リコーの感熱紙を扱う事業部門で働いています。2013年4月、ヨーロッパビジネスの拠点であるフランスのコルマールに、Sales&Marketingの一員として、赴任しました。現在は、新規事業の小さな芽から、マーケティングを行い、どんなビジネスモデルを構築できるかを必死で考える毎日です。

 仕事では、メールやレポートなどは英語を使いますが、日々のやりとりはフランス語を使うことで、意思疎通がスムーズになっていると感じます。現地社員と日本人駐在員の壁は、ないようで、あるもの。下っ端の私にとって、「こうだったらいいのに」ということをフランス語だと話してくれるのは有難いこと。コミュニケーションの円滑剤になれたら!と頑張っています。ランチタイムは、フランスのおばちゃん達と過ごしていますが、料理の話から子どもの話、税金の話と、次々と話題がとび、半分くらいしかわからなくても、おしゃべりの尽きない彼女たちはとっても面白い。なんと「シイタケ」の話題で、30 分盛り上がってしまったこともありました(笑)。彼女たちの日々の小さな楽しみや闘いを聞き、フランスという国を留学時代とは違う視点から、学んでいます。

アルザス地方のワイン畑

フランス語学科で学んでよかったと思うことはなんですか。

 私の大学生活は、1年間のフランス留学を含め、5年間ありました。仏語学科を志望した理由は、英語以外の語学を学べること、漠然と興味を抱いていたアフリカについて学べそうなこと(フランス語を話す国はアフリカにも多いので)、そして、副専攻科目で、貧困問題や途上国の発展について学べる授業があることでした。その志望理由が適って、自分の学びたいことを学ぶことができたフランス語学科での学生生活は、とても充実したものでした。

 授業以外で、大学時代の思い出といえば、色んな国に行ったことだと思います。それまで海外旅行というものもほとんどしたことがありませんでしたが、口火を切ったかのように、バックパックで色んな国に行きました。学生NGOサークル「めぐこ」の活動として訪れたインドとフィリピン、フランス留学時代に旅したヨーロッパ諸国、卒業旅行で行った南米など。その時の、自分の足でその土地を感じ、自分の目と耳でその国を知る、その経験は、今の私に、大きな自信を与えてくれていると思います。

 そして、訪れた就職活動。将来の方向性に、とても悩みました。貧困問題の解決にかかわっていくNGOに入ろうかと考えましたが、まずは、社会の役に立ちながら利益を生み出すということを経験したいと思い、一般企業を選択しました。その時に、広い世界を感じることができる仕事がしたいと思い、海外売上比率が50%以上のリコーという会社を選びました。そして、入社6年目、願い叶って、フランスで仕事をしています。

 こう書くと、万事順調のように聞こえるかもしれませんが、もちろん、そうではありません。途中途中、自分の方向性に悩むことは沢山あります。自分は成長できているのだろうか?自分の目指しているものは何だったのだろうか?など。でも今は、そう悩むことは健全だと思っています。

 最後にメッセージをお願いします。

 この文章を読んでくださっているのは、高校生の方が多いのでしょうか。自分の学びたいことは何だろう?将来どんな風になっていたいのだろう?そんなことを考えている真最中だと思います。答えは簡単にでてこないかもしれません。私は、今年30歳になりますが、今も少し道が開けては、また少し悩み、そんなことを繰り返しながら、成長しているのだと思っています。人生に無駄はきっとありません。自分の興味に突き進んでみてください。それが、きっと、あなたの未来につながると思います。

コルマールの町中