2019年9月、チューリッヒ大学でのセミナーに出席して以来初の海外出張となりました。今回の目的地は、20年ぶりに訪れることとなったパリ。4日間という短い滞在でしたが、EHESS (社会科学高等研究院)にて2つの研究発表を行いました。一つめの発表は、日本現代史研究家を中心に構成されるGlobal Japan Seminar(5月19日)にて、ハワイの日系コーヒー栽培者が日本委任統治領南洋に珈琲農園・会社を設立するまでの軌跡を日本人移民史と農業史の視点から考察しました。翌日には同研究院の環境史研究者を対象に、19世紀初頭にハワイ諸島にコーヒーが移植される過程をイギリスの植物帝国主義とアメリカの宣教活動から検討した発表を行いました。どちらも、今手がけている単著の一部で、これまで、なかなか他の研究者の意見を聞くことができなかったので、とても貴重な機会となりました。 やはり対面での交流は参加者同士のエレルギーとインスピレーションを直に体感でき、とてもいいものです。
余談ですが、滞在中に、友人とのランチで”Buddha bowl(写真1枚目)”というものを食べました。基本的に黒米にたくさんの野菜が載ったベジタリアン料理です。友人曰く、パリでは”Poke bowl”が流行っているらしく、どちらもとてもヘルシーなイメージがあるとのことでした。ちなみにPokeはハワイのローカル・フードで、マグロ(ハワイ語でahi)などの刺身をごま油や醤油で味付けした料理です。生の魚を食べるハワイ先住民文化と日本人移民らが持ち込んだ調味料が融合したものと言われ、現在ではハワイのみならず、アメリカ本土でも人気のある料理となっています。それが、地球を半周してパリまで広がっているとは驚きでした。食のグローバル・ヒストリーを専門とするものとしては、今後注目していきたい題材をまた一つ見つけたような気がしました。
(文責:飯島真里子)