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研究プロジェクト1. アジア・中東・アフリカのグローバル化の比較研究
アジア文化研究所の所員が中心となって進めたＣＯＥプロジェクト「地域立脚型グローバル・スタディーズの構築」（2007年3月終了）を継承、発展させ、グローバル化現象にともなう諸問題について、マクロな視点と地域社会の実証研究というミクロな視点を組み合わせつつ、共同研究を行っています。具体的には、東日本大震災で被災した外国人住民の復興への取り組みや、グローバル化による宗教実践の変容などについて、現地での聞き取り調査を実施しています。これまでの研究成果としては、『環境と開発に関するアジア地域の比較研究：IT化とグローバル化の進展のなかで』(2004年)が挙げられます。 2. 文化遺産の学際的研究
2009年度から2年間実施した学術研究振興資金による「ナショナリズム復興のなかの文化遺産」プロジェクトの成果を踏まえ、日本を含むアジアの文化遺産と、その現代における意義に関わる諸問題について、内外の関連分野の研究者と連携して調査・研究を実施しています。文化遺産の概念の形成や、文化遺産の政治性をめぐる問題、文化遺産に関する政策と地域住民の関係をめぐる問題、遺跡に関する考古学的・歴史学的研究、遺跡・工芸品・芸能・文書など多様な文化遺産の保存と利用に関する問題などを検討し、学術研究上の成果を国際的に発信するとともに、文化遺産をめぐる実践的課題について具体的な提言を行っています。 近年の主な研究成果としては、『上智アジア学』28号＜特集：上智カンボジア研究＞（2010年）、『ナショナリズム復興のなかの文化遺産：アジア・アフリカのアイデンティティ再構築の比較』（私市正年編、2011年）が挙げられます。 3. アジア・中東・アフリカの歴史的展開とナショナリズムの比較研究
19世紀後半以降、独自の長い歴史と社会経済的構造を有してきた東南アジア・南アジア・中東・アフリカ諸地域では、多くの国が帝国主義列強の植民地支配下に置かれるようになり、それまでの国家の在り方を破壊され、近代国家の形成が強制されました。一方で、対抗運動としてのナショナリズムが様々な形で生じ、国家制度の再構築や国民形成にとどまらず、経済、社会、文化、宗教等の幅広い分野の変革がもたらされ、それは今日までプラスとマイナスの両側面において強い影響を与え続けています。 本プロジェクトでは現代までを視野に入れ、この間の連続と非連続、変容過程の比較考察を幅広く推し進め、外部資金も活用しながら、代表と担当所員をはじめ、分担者、協力者による国内外の調査を実施し、研究会や報告会を適宜実施するとともに、その成果を幅広く公表しています。 『上智アジア学』25号＜特集：イラン世界とその周辺地域 ―その形成と展開＞（2007年、責任編集・小牧昌平）、同32号＜特集：日本のビルマ研究―歴史・文化・宗教を中心に＞（2014年、責任編集・根本敬）、Monograph Series No. 11 『日本占領期ビルマにおけるカレン＝タキン関係 ―ミャウンミャ事件と抗日蜂起をめぐって―』（池田一人著、2012年）、同No.17 The “White Man’s Burden” and the Islamic Movement in the Philippines: The Petition of Zamboanga Muslim Letters to the ottoman Empire in 1912 （川島緑著、2014年） 、Occasional Papers No.20『在外ビルマ人コミュニティの形成と課題―日本と韓国を事例に』(根本敬（編）、梶村美紀、宣元錫（共著）、2016年)などの研究所出版物は、このテーマに関する研究成果にもとづいています。 4. 諸宗教の対話と平和構築の研究
今日、宗教をめぐる紛争は、東南アジア、南アジア、中東だけでなく、ほとんど全世界を覆っています。このような状況を深く理解し、その解決に向けて実践的な提言や活動を行うことが求められています。そのためには、個々の地域社会に根差した宗教や価値観について調査を行うとともに、諸宗教の関係についての研究や、宗教間の相互理解を深めるため宗教間対話が重要性を増しています。本プロジェクトは、地域研究的手法と社会運動的手法の双方を用いて、宗教をめぐる協力や対立について共同研究を行うとともに、カトリック大学としての本学の利点を生かしつつ、研究会・シンポジウムを通じて全学的な討論のフォーラムとして活動しています。 『上智アジア学』29号＜特集：21世紀の南アジア＞(2011年)には、本プロジェクトの成果にもとづく論文が収録されています。 |
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