哲学科を卒業した後の進路は、それぞれの人の関心や人生観によってさまざまに異なります。社会に出て就職しようとするとき、哲学科出身ということが不利にならないかと心配する人もいますが、実際にはそのようなことはまったくなく、他の文学部出身者と変わりません。それよりも、今日の就職状況はますます不安定さを増しており、出身大学の名前だけで就職できることはなくなってきました。さらに企業の安定度にしても、かつてのように寄らば大樹の陰という発想はもはや通用しません。今日の就職活動でもっとも肝心なのは何よりもまず、実社会に出て活動したいという本人の熱意と努力です。
哲学科の出身者には、在学中の関心から、教育・出版・マスコミ・情報・コンピュータ・政治など、広い意味でのロゴス(言論・論理・コミュニケーション)にたずさわる人がもっとも多い(20%程度)という統計結果がありますが、製造・金融などの職種につく人も少なくありません。どちらにしても、先行きの不透明な現代社会では、自分の力で深く考え、見通しを持ってプランを実現できる人材が求められます。哲学科でやしなった思考力や洞察力が実社会でも大いに役立っているという声が、とくに管理職についている卒業生からしばしば寄せられています。
また、哲学科卒業生の1、2割は本学の大学院や他の国公立の大学院、また他の学部学科などに進学し、専門研究をつづけながら、研究者や教育者への道を求めていきます。大学の教員になる人のほかに、哲学科では卒業までに中学高校の社会科教員、博物館学芸員などの資格を取ることができるので、これらの資格を生かして教育研究機関に勤める人もいます。本学の哲学科はこれまでに哲学・倫理・宗教・教育などの専門家を数多く輩出してきた点で、国内でも有数の歴史と実績をもっています。